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2011年11月11日 (金)

マネジメント信仰が会社を滅ぼす/深田和範

4106104016  「社長は、何を基準に室長を選んでいるのですか」
 人事部員の質問に対して、社長は開口一番次のように答えた。
 「勘だよ」 あまりにはっきりと言われたので、人事部員は戸惑った。これでは基準として社員に示すことができない。そこで、人事部員が「もう少し具体的に」とお願いをすると、社長は次のように答えた。
 「具体的にと言うのであれば、そいつの『顔』ということになる。進路指導の相手は母親と子供だからな。母親や子供が相談しやすい顔をしている者を室長にする」
 人事部員は、社長にからかわれているのではないかと思った。
 「室長登用基準ならば、普通は、『受験に対する知識の深さ』とか『子供や父兄に親身に接する人当たりのよさ』とかだろう。『顔』では、個人的な好みの世界で、基準も何もあったものではない」
 そう思った人事部員は質問を変えることにした。
 「それでは、室長を務めるうえで最低限、身につけておかなければならない知識や能力には、どういうものがあると思いますか」
 「知識や能力なんて、室長になればいやでも身につく。大事なことは、室長に向いているかどうかだけだ。それを見極めるのが社長の仕事だ。こういうことは、基準で決めることではなくて、経験とか勘がものをいう。実際に、それで今までうまくやってこれたんだ。
 逆に、『こういう知識や能力を備えた人を室長にしましょう』なんて基準を作られたりしたら、私にしてみれば迷惑だ。そんなもので室長を選んでいたら、きっと会社はおかしくなる。進路指導の核となる室長は、うちの生命線だ。そういう重要なポストだから、私が自分で選ばなきゃいけない。誰を使って勝負に臨むのかも決められないなら、社長なんてやってられない。というより、社長の仕事なんて、それぐらいのもんだよ」

上記は、ある学習塾の人事部員が、「室長」として必要な知識や能力を明確化して、「室長登用基準」を作ろうとし、その基準の作成にあたり、「何を基準に室長を選んでいるのか」について、社長から直接聞いた時の話し。

私も人事コンサルの仕事をしているが、人事の担当者が陥りやすい過ちの一つは、誰が見ても客観的な基準を作ろうとすること。

公正・公平・客観的な採用、評価、昇格、昇進等の基準づくりをしようとする。

しかし、これはほぼ100パーセントうまくいかない。

どうもマネジメントの世界では、勘や経験で決めるのは時代遅れ、科学的、合理的な手法が優れているという信仰があるようだ。

ところが、「誰を採用するか」とか「誰を昇進させるか」といった人の問題については、むしろ勘と経験がものをいう世界。

公平・公正な基準を作ろうとしても大抵うまくいかない。

結局、その学習塾では、室長登用基準を作ることを断念したとのこと。

そして、教室数と室長が増え続ける中にあって、相変わらず社長が自らの勘で室長を任命しているという。

進路指導に重点をおき、それに適した顔をした室長を社長が選ぶ。

そして、この学習塾は、少子化が進む中、今でも成長を続けているという。

勘と経験は決して時代遅れの考え方ではない。

むしろ人間の能力の結晶した形が勘と経験ではないだろうか。

勘と経験、この人間の最高の能力をもっと見直す必要がある。

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