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2011年12月16日 (金)

最強の経営参謀/山田有人

Znp18   日本に乗り込んできたゴーンは、1990年10月に「日産リバイバルプラン(NRP)」を発表する。その骨子は、次の三つのコミットメント(公約)が中心であり、それが3年以内に達成できなければ、彼自身とエグゼクティブ・コミッティのメンバーの全員が退陣することを宣言した。
  ①営業利益2903億円を達成
  ②営業利益率4.75%を達成
  ③負債額を9530億円に削減
  (中略)
  ゴーンが3年以内に達成できなければ辞職するとまで言った三つのコミット(公約)を見てもらいたい。これはどれも会計数値である。しかも、どれも極めて具体的な数字である。
  このように数値目標を達成できなければ辞めるというやり方は、よほどその数値の達成に自信がなければやるべきではない。もし、その目標が少しでも守れなければ、発言者が辞めれば済むだけではなく、その後の再生のためのモチベーションは相当に落ち込む。裏を返せば、ゴーンは、これらの会計数値の達成には確固たる自信があった。なぜなら、彼の陰には信頼できる会計・財務の専門家がいたのである。その人物の名前は、ティエリー・ムロンゲであり、ゴーンの来日時に、一緒にフランスからやってきていた。
  ムロンゲは、1976年にフランスの国立行政学院を卒業して、大蔵省に入省する。その後、91年にルノー社に入社し、IR担当、投資管理担当を歴任し、日産自動車の取締上席常務として来日し、2000年には副社長兼CFOとなった。
  2002年3月号のCFOマガジンは、ターンアラウンド・マネージメント分野のベストCFOとして彼を選んでいる。ちなみに日本企業からベストCFOが選出されるのは始めてのことである。同誌の選出理由は以下の文章で始まっている。
「華麗なCEOゴーンが日産の劇的な復活の立役者としてマスコミの脚光を浴びている。しかし実際にこの再生劇の一部始終を仕組んだのは、同社の財務部門なのだ。そしてその財務部門を率いるのが長身痩躯で眼光鋭いフラン人のムロンゲである。」

何でもやたらに数字が口から出てくる人、

何となくイヤなヤツというイメージを持ちがちだ。

ただ、優れた経営者はほとんど例外なく数字で経営を語ることができる。

本書はそのような経営者をサポートする会計専門の参謀の必要性とその役割について述べている。

一般的に会計の専門家というと、地味でコツコツと数字を正確に導き出す仕事というイメージがある。

ところが米国においては、企業の経営に関与することを夢見て簿記や会計を学ぼうとする若者は多いという。

それは、会計的な数字を正確に導き出す存在の先に、CFO、すなわち「経営参謀」という職業を認識しているためである。

企業を経営するには、その前提として、正確な情報を入手することは不可避である。

しかし、米国の若者が憧れるCFOが単なる経理屋と違うのは、その情報をどのように使うかを知っているためである。

正確な情報を瞬時に入手し、その情報に基づき、実際の経営に参画する。

そのような存在、CFOを目指して簿記や会計を学ぶという。

なるほど、そのような将来像が明確に持てるのであれば面白くない簿記や会計の勉強にも身が入ろうというもの

確かに最近の大企業の不祥事を見るにつけ、正確な会計的な数字の裏付けをもって経営を語れるプロフェッショナルが必要な時代になってきたのだなとつくづく思う。

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