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2011年12月 3日 (土)

深夜特急2―マレー半島・シンガポール―/沢木耕太郎

Bt000012946700200201_tl_3  意外ななつかしさに、その思いの中に浸り切っていると、不意に、自分はなんだってこのような旅にでてきてしまったのだろうという、当然わかっているつもりのことが曖昧になってきた。あるいは、曖昧になったのではなく、日本を出るとにかく出る、ということに夢中になっていて、今まで一度もきちんと考えたことなどなかったのかもしれない、という気もしてきた。
  本当に、どうしてだったのだろう。いったい、自分は、なんだってこんなところにいるのだろう・・・・・・。(中略)
  私は、春のある日、仕事の依頼をすべて断り、途中の仕事もすべて放棄し、まだ手をつけていなかった初めての本の印税をそっくりドルに替え、旅に出た。
  せっかく軌道に乗りかけているのに、今がいちばん大事な時ではないか、と忠告してくれる人もいた。だが、ジャーナリズムに忘れ去れてることなど少しも怖くはなかった。それより、私には未来を失うという「刑」の執行を猶予してもらうことの方がはるかに重要だった。執行猶予。恐らく、私がこの旅で望んだものは、それだった。

若ければ若いほど、「自分の人生はこれでいく」と決めることにためらうものだ。

「自分の人生はこんなもんじゃない」

「もっとやれることがあるはずだ」・・・と、

沢木氏は「執行猶予」という言葉をつかっているが、感覚的にはこれに近いものがある。

自分は何者なのか?

何をやりたいのか?

正解のない問いかけを自分にするのに、旅はうってつけだ。

長い人生の中で、そんなモラトリアムな時期があってもいいと思う。

自分も旅をしたくなった。

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