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2011年12月30日 (金)

ウェルチ的徹底経営/川井健男

Znp1a  2001年9月にジャック・ウェルチはGEを退社し、ほぼ同時期に自伝を出した。(『ジャック・ウェルチわが経営』宮本喜一訳 日本経済新聞社)、版元はワーナーブックスだった。この出版については、以前から大きな話題を集めていた。前渡契約金が、確か、700万ドルという大金だったからだ。私もそのことに関して、日本のある週刊誌に記事を書いた。
  ジャック・ウェルチという人間は、大きな賞賛も受けるけれど、ひどい非難も浴びるという、とにかく「話題性」は抜群の人間である。したがって、ベストセラーになったこの本についても、賞賛と同時に、ひどい批判も受けた。
     その批判の中で典型的なものは、「目新しいことはなにもない」というものだった。ウェルチの経営手法というのは、その題目を並べてみると、奇抜でもないし、独創的なものでもない。アメリカの大学のMBA(経営管理修士)コースならば、基礎項目として教えているようなものばかりだ、という指摘が多かった。
  ある意味ではそれは当然の話である。
  彼は理論家ではない。実践者だ。しかも、彼が「経営の神様」と呼ぶピーター・ドラッカーの著作から、多くのアイデアを受け取っていることも公言している。ウェルチにしてみれば、そんなこと、批判されても困るはずである。
  ウェルチは、理論を重視するタイプの実践者である。
  理論を重視して、それを徹底的にやりぬく。
  徹底的に、徹底的に、徹底的にやりぬくことによって、量が質に転化するように、経営の高度化にも成功している。徹底的にやりぬくことによって、理論的な矛盾も見えてくるし、その矛盾を取り除く方法も発見できる。その発見された方法をふたたび徹底的にやりぬくわけである。

今や伝説的な経営者となっているジャック・ウェルチ。

しかし、そのやってきたことを細かく検証して見ると、新しいことは何もない。

すべて大学のMBAで語られていることばかりだったという。

確かにあの有名な、「ナンバー1、ナンバー2以外の事業はすべて撤退または売却」という戦略なども、MBAで「選択と集中」という形で当たり前のことのように教えられている。

しかし、だからこそ、ウェルチは、経営者として卓越していていたということができる。

経営者の役割は、優れた経営手法や戦略を編み出すことではない。

その役割は学者が担っている。

経営者の役割とは、学者が編み出した優れた経営手法があったとしたら、それを実践し成果をだすことである。

そして、成果を出すためには不退転の決意、強いリーダーシップ、徹底性が必要になる。

その意味で、ウェルチのやったことは、彼の徹底性がもたらしたものは、企業活動に関し、多くの実践的で現実的なアイデアを提供してくれる。

ウェルチが多くの経営者の教科書的存在とされている所以であろう。

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