「NO」は言わない!/林田正光
ある雑誌に、組織についての興味深い調査結果が掲載されていました。
それによると、「自分が所属する組織が達成しようとしている目標と、その理由を明確に理解している人」の割合は組織のメンバーの37パーセントにすぎず、「チームや組織の目標達成に熱意を持っている人」は20パーセント足らず、「自分の目下の課題とチームや組織の目標との間に明確な見通しを持っている人」は20パーセントとのことでした。
これをラグビーのチームで考えてみましょう。
なぜ勝利を目指すのかを理解してプレーしている人は15人中5~6人、勝利のために熱心にプレーしている人は3人、自分のポジションとやるべきことがわかっている人も3人です。つまり、多くのメンバーは、フィールドに立ちながらも、自分が何をするべきかがわかっていないのです。
今、多くの企業では生き残りのために、どのような戦略をとるべきなのかということが大きな課題になっている。
確かに大企業はそうだろう。
だが、私が普段関与している中小企業では、別の問題が大きいように感じている。
それは、トップが打ち出した会社の方針や目標に対して、大部分の社員が理解しておらず、自分の役割は何かがわかっていないということ。
つまり、企業理念やビジョン、方針、目標といったものが絵に描いた餅になってしまっている。
これが一番大きな問題であるように感じている。
どんなに優れた戦略を打ち出しても、社員がそれにそって動かなければ意味がない。
ところが、中小企業の場合、そもそも社員が会社の目標にそって動く仕組みがほとんどない。
結局、目標がスローガン化し、何も変わらないということになる。
また、最近よく言われている「自律的社員」というのも、中小企業の場合、違和感がある。
そもそも中小企業には、自律的に人からいわれなくとも自分で考え、行動し、結果をちゃんと出せる人材など皆無。
社長と社員の関係は、それこそ「笛吹けども踊らず」という状態になっている。
会社の理念や目標にそって社員がきちんと理解し動く仕組みを作ること、
中小企業はまずこのことを真剣に考えるべきだろう。
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