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2012年1月26日 (木)

「攘夷」と「護憲」/井沢元彦

Znp2a  本来なら、黒船を見た瞬間、日本人すべてが一丸になってこの方向に向かって動くべきでした。ところが実際に日本人全員がこの方向へ向かうようになったのは、黒船から数えて15年後、明治維新の成った1868年からです。
  なぜ、15年もかかったのでしょうか。
  しかもこの間、いわゆる開国近代化に向かって、真っ直ぐ進んでいたのかというと、そうではありません。日本が本当の意味で開国の方向に向かって進みだしたのは、1853年の黒船来航から10年後の63年以降なのです。そこから明治維新までは、わずか5年しかありません。つまり10年間も、日本は議論の空転をしていたのです。
  その議論の空転を招いたのは、世論の中心であった「攘夷論」です。

幕末、黒船が開国を迫る中、「攘夷」という空理空論に固執して、明治維新までに15年もの時間を浪費した日本。

井沢氏は、それはそのまま現実を直視せず、空理空論に走る護憲派の発想につながっていると説く。

今から20~30年前からつい最近まで、護憲派と言われる人たちが言っていたことを繰り返せば、次のようになる。

ソビエトや北朝鮮は労働者の天国であり、中国は文化大革命というすばらしい改革をやった国。

これらの国には食料が満ち溢れ、貧困も差別もない。

共産主義国家の軍が持っている原水爆や軍備は、平和の脅威ではなく、むしろ資本主義国家の持っているもののほうが危険。

朝鮮戦争はアメリカと韓国の陰謀であり、北朝鮮は被害者。

北朝鮮は拉致など行っていないし、そういうのは右翼の陰謀。

北朝鮮のテポドンは人工衛星の実験であって、平和を目的としたものであり、日本にとって何ら脅威ではない。

北朝鮮に帰国した何万人もの在日朝鮮人は、今も平和なすばらしい暮らしを送っている、等々・・・と。

今から考えれば、「なんてバカなことを」と思ってしまうが、現実に朝日新聞を代表とする、進歩的文化人と称される人たちは大真面目で論じていた。

こういったことを口にしていた人間が、今や同じ口で護憲を唱えている。

「日本は平和憲法を持つ国であり、その平和憲法は絶対に正しい。それを改悪することは許されません」と。

つまり「攘夷」の時代から、根っこの部分はまったく変わっていないのである。

黒船が開国を迫る中、「攘夷」という空理空論に固執して、明治維新までに15年もの時間を浪費した日本。

今度はどれだけの時間を浪費するのだろう。

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