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2012年1月18日 (水)

言葉の力/猪瀬直樹

Znp16   小泉さんの言葉に感動がともなうのは、俳句のように凝縮した1行の力強さがあるからではないか。「ワンフレーズ」といって揶揄するだけではなく、言葉を選び、吟味している一面があることを見逃してはならない。
  小泉さんは1行しかないように見えるが、1ページのなかに余白をつくったうえでの1行なのである。俳句と同様に、余白をすべて生かしている。だから印象に残る。
これに対して、軍人の宇垣一成や元市民運動家の菅さんの言葉は、ページに言葉が埋まっているだけなのだ。
  小泉さんには「言葉」があった。その後を継いだ首相たちを見ていると、「言葉の力」が次第に失われている。
  安倍さんで「緊張感」が消え、福田さんで「夢」が消え、麻生さんで「知性」が消えた。
  ″宇宙人″の鳩山さんで「リアル」というものが完全にすっ飛んでしまった。
  そして菅さんで跡片もなく消えたもの。「言葉の力」である。

短い言葉を連発して、「ワンフレーズ・ポリティクス」と批判を浴びた、小泉首相。

しかし、今振り返っても印象的な言葉がいくつもある。

所信表明演説のとき語った「痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず。」という言葉。

大相撲夏場所で優勝した貴乃花に言った「痛みに耐えてよく頑張った。感動した。おめでとう。」という言葉。

そして「郵政解散」直後の記者会見で語った「ガリレオは「それでも地球は動く」と言った。私は、国会で郵政民営化は必要ないという結論を出されたが、もう一度、国民に聞いてみたい。」という言葉。

いずれも非常に印象に残っている。

それに比べ、そのあとを継いだ首相の言葉は、正直言って全く思い出せない。

小泉首相のやったことが全て正しかったとは思わないが、少なくとも言葉に力があったとは言えるのではなかろうか。

リーダーは言葉を持たねばならない。

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