« 残念な人の思考法/山崎将志 | トップページ | 衆愚の時代/楡周平 »

2012年1月 3日 (火)

ユニクロvsしまむら/月泉博

Znp13   しまむらのパート比率は84%(06年2月期)と業界一高い。そしてこのパート・アルバイトの即戦力化を可能にするのが、独自に整備された「マニュアル」である。
  同社のマニュアルはA4版で全10巻。店舗運営から総務、教育、出店、商品開発等に至るまで、全社員の業務心得とその作業手順が詳細に網羅される。総頁数はゆうに1000頁を超え、ズラッと並べるとその厚さが約1メートルにも及ぶ。
  そのうちの店舗用が、「規則・規程」「レジ・金融・販売管理」「陳列・演出・什器」「資産管理・端末操作」「教育マニュアル」の5巻。誰にでも理解できる平易な分かりやすい言葉で、無駄なく具体的にまとめられており、小売経験が全くない人でも、短期間で一人前の仕事ができるようになる現場のバイブルである。
  ところでユニクロの場合、前述の店舗主導へ移行したきっかけの1つに、「"やや行き過ぎた"硬直的なマニュアルの弊害」(柳井)があった。しかし、しまむらにはマニュアルの弊害は全くないという。なぜなら、しまむらのマニュアルは常に「生きて進化している」からである。
  実際、同社のマニュアルは、いつでも追加や削除が可能なバインダー形式になっている。注目すべきは、パートの提案でこのマニュアルがどんどん改善されていくこと。3年も経てば、中身がガラリと変わるという。

マニュアルという言葉の持つ響きは「マニュアル人間」という言葉に代表されるように、必ずしも良くはない。

「マニュアル人間」といえば融通の効かない人間の代表格のような印象を持たれている。

それが、何も考えずにただマニュアルに書かれていることを実行するだけで、ちょっとイレギュラーなことが起こると全く対応できない人間の事を指しているとしたら、確かにそれはあたっている。

しかしそれは、そもそもマニュアルの使い方を間違っている。

仕事をするに当たり、一番効率的で効果的なやり方というものがある。

通常それは暗黙知として個の中に閉じ込められた状態になっている。

しかしそれではもったいない。

もしそれを皆が同じように出来るようになるためには、文字に落とし込み、皆が共有できるようにする必要がある。

つまり暗黙知から形式知への転換、これがマニュアル化である。

しかし膨大な暗黙知の世界を形式知に転換したとしてもそこには自ずと限界がある。

つまりマニュアルとは不完全なものであり、そのため進化し続けなければすぐに陳腐化してしまう性格を持っているものなのである。

しまむらは、このマニュアルの性格を熟知した上で、うまく業績向上に活用している。

マニュアルを絶えず進化させることにより、社員の育成や業務の効率化にうまく利用している。

マニュアルを批判する人は多いが、その大部分はそれを表面的にとらえてしまっていることによる。

マニュアル化が効果的であることは、しまむらの業績が証明している。

« 残念な人の思考法/山崎将志 | トップページ | 衆愚の時代/楡周平 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ユニクロvsしまむら/月泉博:

« 残念な人の思考法/山崎将志 | トップページ | 衆愚の時代/楡周平 »