« JAL崩壊 | トップページ | 人はなぜ逃げおくれるのか/広瀬弘忠 »

2012年2月 2日 (木)

日本の成長戦略/堀紘一

Znp17   ところが、じつはここに一つ、困った問題がある。
  現在のベトナムでは、資生堂など日本製の化粧品のシェアが、さして大きくないのだ。
  これには理由がある。ベトナムの女性に聞いてみると、日本人の女優や女性歌手で知っているのは、酒井法子くらいしかいない。酒井法子は覚醒剤事件で知られているのではなく、昔の歌、『碧いうさぎ』で知られているそうである。
  ところが、韓国の女優では『冬のソナタ』のチェ・ジウを誰もが知っているし、フィギュアスケートのキム・ヨナの人気も高い。
  そして、この二人が韓国製の化粧品のイメージキャラクターをしているのだ。
  そこで、困ったことが起きてしまった。ベトナムの女性たちのあいだで、韓国製の化粧品のほうが日本製より品質がよいのだろうとの認識が広まっているのである。このまま手をこまねいていると、ベトナムのみならず日本製の化粧品がアジアで思うように売れなくなってしまいかねない。
  私は別に資生堂のために困るといっているのではなく、この現象は「一事が万事」の話なのである。たしかに『冬ソナ』はドラマとして面白いかもしれないが、作品の力だけで韓国製の化粧品が広まったわけではない。
  この背景には、日本政府と韓国政府の姿勢の違いが如実に現われているのだ。
  簡単にいえば、韓国政府の頭がよくて、日本政府の頭が悪いのである。

ベトナム人は本来、韓国のことがあまり好きではない。

何しろベトナム戦争で、アメリカ軍と一緒に戦った国の一つが韓国だったのだから。

ところが、そこに気がついた韓国政府が、何とか関係改善を図らなければいけないと考えて、いろいろと知恵を絞った。

その具体策の一つが、『冬ソナ』など、韓国製ソフトの無料提供だった。

こうして『冬ソナ』だけでなく、ベトナム人が韓国に抱いていたイメージを変えるような作品がテレビで放映されるようになり、若い人のあいだでは韓国アレルギーがなくなり、国全体でも韓国アレルギーがだいぶ減ってきた。

それが化粧品のシェア拡大につながっているという。

ここにははっきりとした韓国政府の戦略がある。

現在のK-POPの躍進も、やはり韓国政府の戦略が透けて見える。

これに対して日本政府には、戦略があるのだろうか。

はっきり言って、無能かつ無策である。

今、日本企業は韓国企業に押され気味だが、これは企業の努力の差だけではない。

むしろ、国家の後押しがあって世界展開できる韓国企業と、国からいつも足を引っ張られている日本企業との差である。

つまり、韓国企業と日本企業は同じ土俵の上で戦っていないのである。

はっきりとした国家戦略をもった韓国政府と、戦略のない日本政府との差がここにきて現れてきていると言ってよい。

« JAL崩壊 | トップページ | 人はなぜ逃げおくれるのか/広瀬弘忠 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/555602/53887554

この記事へのトラックバック一覧です: 日本の成長戦略/堀紘一:

« JAL崩壊 | トップページ | 人はなぜ逃げおくれるのか/広瀬弘忠 »