知事の世界/東国原英夫
県知事というのは、自分から何か進んでやりたいと考える人には実に窮屈なポジションだ。やりたくてもその事業に注ぎ込む予算がない。どこか別の予算を削って捻出していくしか方法はないのだ。
逆にいえば、何もやりたくない人にはこれほど楽なポジションはない。
本書は、東国原氏が知事選に当選し知事となってまだ間もない、2008年に書かれたもの。
当選してまだまもない頃の知事は、宮崎のセールスマンとして、全国区のテレビなどでマンゴーや地鶏等の売り込みをしていたイメージが目に浮かぶ。
自らの知名度を武器に宮崎をアピールし、宮崎を売り込んだ貢献はある程度評価しても良いだろう。
その東国原氏が、ここでは知事の仕事を「自分から何か進んでやりたいと考える人には実に窮屈なポジションだが、何もやりたくない人にはこれほど楽なポジションはない」と言っている。
面白いことを言うな、と思ってしまった。
知事職に限らず、「何もやらない、変えない」と決めてしまえば、これほど楽な仕事はない、といった類の仕事はこの世には掃いて捨てるほどある。
お役所などはその最たるものであろう。
とかく人間は保守的なものである。
できれば、これまでのやり方を変えたくない、と考えているし、変化を好まない動物、それが人間である。
だから、組織を変えようとする人に対しては拒否反応を示す。
拒否反応を示すだけだったらまだマシな方で、最悪、潰してしまう。
右肩上がりに経済が成長していった時代はそれでも良かったろう。
しかし、いまは経済が縮小してきている時代。
去年と同じことを何の疑問も持たずにやることは死を意味する。
今、日本全体がそのことを問われているような気がする。
« 技術の伝え方/畑村洋太郎 | トップページ | 間違いだらけの経済政策/榊原英資 »
いつまでも橋下市長の人気だけにすり寄ってると、師匠の<たけしさん>に叱られるぞ。自分の意思が無いのかと。
投稿: 野 | 2012年2月20日 (月) 21時04分