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2012年3月 2日 (金)

なぜ、詐欺師の話に耳を傾けてしまうのか?/多田文明

Bt000012957900100101_tl   私の友人に40代の男性がいる。一流企業に勤める彼は2人の子供をもうけ、幸せな家庭を築いている。2年前、すべてが順調だった頃の彼はこう言っていた。
「世の中には騙される人が本当に多いよね。でも、俺は絶対に騙されない。もともと疑い深いからね」
  順調な人生がそう言わしめていたのだろう。
  最近、私は久しぶりに彼に会った。彼の顔は憔悴しきっていた。
  私は聞いた。
「何かあったの?」
  彼は静かに頷き、暗たんとした表情で話した。
「実はここのところ、よくないことが続けざまに起きて・・・」
  彼の話によると、様々な不幸に見舞われたのだという。(中略)
  暗くうつむく彼の首を見ると、怪しげな数珠がかけられている。その数珠について尋ねると彼は答えた。
「占いを見てもらって、これ以上不幸が訪れないように、お守りとして買ったんだ」
  なんと彼は数万円も払ってその数珠を買っていた。さらに詳しく聞けば、自発的に買ったというより、不幸話を煽られ買わされたといった内容だった。

本書は詐欺師の様々な人をだますテクニックを紹介している。

オレオレ詐欺に引っかかったり、だまされて高価な絵画や壺を買ったりする人の話を聞くと、「なんであんなに簡単に引っかかってしまうの?」とつい思ってしまう。

だが、本書で紹介されている詐欺師のテクニックの数々を知ると、実に巧妙。

嘘を嘘と思わせないあらゆる手段を講じている。

詐欺師はミエミエの嘘はつかない。

必ずどこかに真実を盛り込む。

詐欺師はリアルとフェイクを混ぜ合わせ、何が真実か分からなくする。

ごちゃまぜにした中から真実だけを拾い上げ、正しさを証明する。

そうすると聞いているほうは相手の話がすべて真実に見えてくる。

嘘を真実に変えるカラクリである。

詐欺師の、その研究熱心さや努力たるや大変なものである。

詐欺師のテクニックは、少し改良すれば、人を動かす術として使えるものばかりである。

「自分は絶対大丈夫」と思い込むこと。

これが一番危ないということだろう。

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