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2012年3月20日 (火)

ゴールは偶然の産物ではない/フェラン・ソリアーノ

C__docume1__locals1_temp_znp1d   選手の大まかな能力や才能を評価するのは、さほど難しいことではない。サッカー好きなら、スタジアムでプレーする選手を見ていれば事足りる。しかし選手を雇うとなると話は別で、その長所も短所も詳細にわたって見抜く訓練を受けた専門家の目が必要だ。どれほど多くの試合を見てきたとしても、ファンには専門家の評価方法を真似できない。そもそも両者の視点はまったく違うのだ。
  例えば、観戦するときファンはだいたいボールを追いかけるが、専門家はフィールド上のポジションや、ボールのないところでの選手の動きを見ている。そのため、両者の評価は大きく食い違う場合がある。ディフェンダーが相手のフォワードからボールを奪おうとして長い距離を猛然と走ると観客は拍手喝采するが、専門家はディフェンダーが持ち場を離れるという極めて危険な動きをしたことや、持ち場に戻るのにどれだけのエネルギーを浪費するかといった不満を抱くかもしれない。

FCバルセロナといえば、昨年のクラブW杯で勝利し、世界一の称号に輝いたことが記憶に新しい。

しかし、過去、FCバルセロナは経営の危機に直面していた。

本書は、その破綻寸前だったFCバルセロナをわずか4年で再生し、世界No.1クラブへと導いたソリアーノ氏の著書。

本書のタイトル「ゴールは偶然の産物ではない」も、サッカーのゴールという一見偶然性の占める割合が大きいと見られているものを経営に見立てており、絶妙。

つまり、サッカーのゴールは偶然の産物ではなく、戦略と戦術があり、きちんとしたお膳立てがあって初めて生まれる。

経営も同じなんだ、と。

偶然うまくいくなんてことはあり得ない。

赤字になるのも、黒字になるのも、必ずそのプロセスに原因があるのだというもの。

ここでは、そのプロセスの一つ、スカウティングと評価について述べている。

重要なのは、選手を正しく見る視点。

ソリアーノ氏は、ファンの見る目と、専門家の見る目は違うのだと言う。

ファンはボールを持つ選手のプレー注目するが、専門家はボールを持たない選手がどのような動きをするかに注目する。

派手なファインプレーや全力プレーに拍手喝采するのでなく、なぜそうしなければならない状況に陥ったのかを冷静に分析する。

そして、個々の選手を正しく評価し最適な役割を与える。

これなどは企業経営における採用、評価、配置、育成にそのまま生かせる内容。

企業経営にたとえるならば、社員を見る専門家の目を持っているか、ということ。

企業は社員の採用や評価の際は「ファンの目」つまり一般論に流されず、「専門家の目」つまり合理性に基づいた独自の視点を持つ必要がある、ということであろう。

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