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2012年4月 3日 (火)

日本は世界5位の農業大国/浅川芳裕

C__docume1__locals1_temp_znp22 「私は自分がどんなに努力しても、農業経営者にはなれそうもありません」こう語ったのは、米国のオバマ大統領である。
「世界市場のなかで、高度な技術力とマーケティング力、そして経営判断が求められる、(大統領以上に)複雑な仕事です。学生時代にアルバイトしたとき、『あんた仕事できないわね』と、すぐにクビになりましたから本当です。さらにみなさんは家族を養い、地域社会を支え、世界の食生活に貢献していらっしゃるのですから、本当に素晴らしい」オバマ大統領にここまでいわせる農業は、あらゆる産業のなかでもっともグローバルであり、かつ高度な経営判断のいるビジネスなのである。

「国内産でまかなえる食料が半分以下では、万が一、輸入がすべてストップした場合に、国民の多くが飢えて苦しむことになる。そのためには自給率を上げて、国民の食料安全保障を磐石にしておかなければならない」というのが政府と農水省の主張だ。

ところが、この数字にごまかしがある。

農水省の出す数字はいつもカロリーベースの自給率。

それによると、自給率は41パーセントとなる。

ところが、世界中でカロリーベース食糧自給率などという指標を国策に使っているのは、世界で日本しかない。

それ以前に、自給率を計算している国も日本だけ。

農業の実力を評価する世界標準は、メーカーである農家が作り出すマーケット規模だという。

その基準からいうと、日本国内の農業生産額はおよそ8兆円。これは世界5位、先進国に限れば米国に次ぐ2位。

立派な農業大国である。

ところが、こんなことは政府も農水省も決して言わない。

彼らはいつも、「日本の農業は弱い、だから国が守ってやらなければならない」、と主張する。

自給率が伝播する思想は、そのイカサマもさることながら、生産者と消費者、この両者の健全な関係のなかに国家を入り込ませるところに恐ろしさがある。

結果として、真っ当な経営努力をしていこうとする生産者の邪魔をする。

いい生産物を作り、販売努力をして常に新しいお客さんを開拓する。

規模拡大や生産性向上を実行し、いいモノを適正な価格で提供して、適正な利益を得る。

その生産物が美味しくて、値段も手頃であればお客さんが食べる量もついつい増えるだろう。

口コミでお客も広がる。

それが正しい消費拡大であり、自給率向上である。

それを、自給率向上の目玉と銘打った国策が妨げている。

今、農業は成長産業として位置づけられている。

少なくとも、国に邪魔をしてもらいたくないものだ。

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