そうだったのか!アメリカ/池上彰
一九八〇年七月、共和党大会で大統領候補に指名されたロナルド・レーガンは、「神がお創りになり、私たちにお与えくださったこの広大な大陸の素晴らしさを言葉で言い表わすことはできません」と演説しています(リチャード・V・ピラード、ロバート・D・リンダー著、堀内一史ほか訳『アメリカの市民宗教と大統領』)。
さらにレーガンは、一九八七年に、こう演説しています。「神意の導きの手は、このアメリカという新国家をアメリカ国民だけのためではなく、もっと崇高な目的のために創られました。すなわち、人類の自由という聖なる火を守り、広げるためでもあるのです。これはアメリカの厳粛なる義務なのであります」(同前)
アメリカは、神によって創られた。理想を世界に広げるために。アメリカは、なぜ世界の国々にさまざまな介入をするのか。ここに、その理由が説明されています。
アメリカという国は矛盾に満ちている。
自由と民主主義の象徴としてのアメリカの姿がある一方、独善的で超保守的、平気で他国の政治にも圧力をかけ、ある時には軍事力をもって介入するアメリカの姿もある。
なぜなのか?
池上氏は本書で、このことをわかりやすく解説している。
特にアメリカが宗教国家であるという点は、日本人にはなかなか理解できないのではないだろうか。
ギャラップ2004年の調査によると、アメリカ人の約90%は、「神を信じる」と答えている。
また、天国の存在を信じる者は81%、地獄の存在を信じる者は70%。
多くの国民が、神を信じているのである。
聖書の示す神を唯一絶対の神として信じるアメリカ人。
アメリカ人の価値基準はすべてここからきている。
これは事実上、無宗教の日本人にはなかなか理解できないのではないだろうか。
上記のレーガンの演説を、もし同じ内容の演説を日本でやったら、どうだろうか?
「神意の導きの手は、この日本という国家を日本国民だけのためではなく、もっと崇高な目的のために創られました。すなわち、人類の自由という聖なる火を守り、広げるためでもあるのです。これは日本の厳粛なる義務なのであります」・・・と。
恐らく狂信的だと思われるだろう。
それが拍手喝采のもとスンナリと国民に受け入れられるところに、宗教国家アメリカの本質があるような気がする。
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