長州奇兵隊/一坂太郎
萩市の中心部である江向に、市立明倫小学校があります。松陰や晋作も学んだかつての藩校明倫館の敷地に建てられた、風格も歴史もある小学校で、観光客も訪れる萩の名所のひとつでもあります。(中略)
この小学校は毎朝、各学級で「松陰先生の詞」を全員で唱和します。
引用される松陰の言葉は各学年で異なり、学期ごとに新しいものに変わります。だから入学から卒業まで明倫小学校で過ごすと、少なくとも十八種類の松陰の遺訓を毎日唱和し、学ぶことになるわけです。さらに、萩市内の小学校では道徳の授業に『松陰読本』(初版昭和三十四年)という子供向けに書かれた松陰の伝記を副教材としています。
ニ十一世紀の日本において、ランドセルを背負った幼な子たちが、「今日よりぞ幼心を打ち捨てて、人となりにし道ぞ踏めかし」「天地には大徳あり、君父には至恩あり・・・・・・」といった「松陰先生」の遺訓をそらんじてみせる。そして「松陰先生」が学んだ同じ場所で自分たちも勉強しているのだという、強烈な誇りをもっている。実に末恐ろしい子供たちではありませんか。東京から取材旅行に来た雑誌編集者が、「都会でやったらただちに偏向教育とかいわれ、問題になりますね」といいましたが、確かにそのとおりかもしれません。それが当たり前に行われているところが、長州、萩という土地の放つ個性なのです。
同じ山口県人でありながら、萩市の明倫小学校でこのような教育が行われているとは知らなかった。
しかし、同郷の偉人、吉田松陰に学ぶという機会に恵まれた子供たちは幸せだと思う。
確かに偏向教育は問題だ。
しかし、今の学校教育、あまりにも均一化されすぎているのではないだろうか。
どこもかしこも金太郎飴的な子供たちを量産する工場のような教育機関になってしまっているような気がする。
今の日本、この方がよほど弊害が大きい。
偏った教育なのか、個性的な教育なのか、その差は紙一重。
これからの時代、学校も独自のカラーを打ち出すような方向に行った方がうまくいくのではないだろうか。
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