渋谷で働く社長の告白/藤田晋
ある日、オックスプランニングセンターの社長と偶然帰りの電車で一緒になりました。
将来社長になりたいと思っていた私は、社長が手に持っていた本が気になりました。
「社長、その本最近いつも読んでますけど、面白いんですか?」
「これか?この本は凄いよ。でもお前はまだ読むな。頭でっかちになったらいけないからな」
その本は『ビジョナリー・カンパニー』。
読むなと言われればどうしても読みたくなるのが人の心情。私は次の日には国連ビルの裏手にあった青山ブックセンターに行って購入してきました。
一気に読み、衝撃を受けました。私も将来、ビジョナリー・カンパニーをつくろうと考えました。
この本には、時を超えて生存しつづける企業とは何か、ということが書き記されています。
経営者のカリスマ性が重要なのではなく、企業そのものが究極の作品であることが書かれています。
社長という仕事には憧れない。でもソニーやホンダのような会社は、人々の生活や社会に大きな影響を与えている偉大な会社です。就職活動をする若者にとっても憧れの存在です。
そんな会社を自らの手でつくり上げよう。
右肩上がりの経済成長は終わりを迎え、就職氷河期とかリストラとか元気のない社会になっている。そんな世相を吹き飛ばすような、希望の星となるような会社をつくり上げよう。
過去の栄光にすがるのではなく、自分たちの手で新しい時代に新しい会社をつくり上げよう。
自分の夢であり目標がはっきり設定された瞬間でした。
〈おれは「21世紀を代表する会社をつくる」〉
これは現在に至るまで、そしてこれからも、変わらぬ私の人生における目標となりました。
本書は、サイバーエージェントの現社長、藤田氏の創業の動機から、会社の立ち上げ、東証マザーズ上場、ITバブル崩壊等が赤裸々に記されている。
一見派手に見えるIT業界にあっても、成長し続けるのは並の努力ではない。
それを支えたのは、藤田氏の原体験とも言える〈おれは「21世紀を代表する会社をつくる」〉という強い思いだったのではなかろうか。
何かを始めた時、順調にいくことは希なこと。
大抵、大きな壁にぶつかり、押しつぶされそうになってしまう体験を誰もがするものだ。
ましてや、ベンチャー企業を立ち上げ、さらにその企業を永続させるということになれば、創業10年後残っている企業はほとんどないというから、過酷を極める。
そんなとき、そのまま押しつぶされてしまうのか、それとも、それに耐え、乗り越え、次のステップにいけるかどうか、
決め手になるのは、「思い」の部分のような気がする。
やはり、はっきりとした原体験をもっている者は強いということではないだろうか。
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