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2012年5月25日 (金)

勝海舟/童門冬二

Photo 勝と坂本龍馬の最初の出会いは、坂本が当時剣術をならっていた桶町千葉道場の悴重太郎と、あるとき、
 「勝は開国屋だ。フテエ野郎だから斬っちまおう」
 と相談したことにはじまるといわれている。重太郎がもちかけたともいう。
 坂本らは赤坂の氷川町にある勝の家をおとずれた。
 「上りなさい」
 そう言われて、二人が刀を別室においてはいろうとすると、
「そのまま持って入ってこい」
 という勝の大声がきこえ、二人がそこへ行った途端、
 「てめぇら、おれを斬りにきたな?」
 ニヤリと笑って言われたという。
 度肝をぬかれた二人は何も言わずに手をついてしまった。

上記は、勝海舟と坂本龍馬との出会いの場面だが、人の影響力、感化力とはどのようなものかということを考えさせられるエピソードである。

人に対する評価は、初印象というものに左右されることが多い。

その意味では、勝は龍馬にこの上ないほどの強烈なインパクトを与えたことだろう。

自分を斬りに来た人間を、そうと知って無防備な状態で受け入れる。

そして「てめぇら、おれを斬りにきたな?」と冗談ともつかぬ言葉で先制パンチを食らわす。

龍馬でなくとも度肝をぬかれることだろう。

この時代の人を過大評価するつもりはないが、今のリーダーと呼ばれる人たちと、決定的に違うのは、このハラの座りようのような気がする。

「私心がない」とも言い換えることができようが、とにかく、この時代の人物は、現代人より一回りも二回りを大きいような気がする。

勝海舟は絶対に派閥をつくらなかったという。

彼自身も、「派閥をつくるとろくなことはない」と言ってる。

それは派閥をつくれば、そこに、「派閥の論理」が生まれて、それが行動原則となって次第に発展していくからである。

結果的には、「派閥対派閥の争い」になってしまう。

そうなれば、「私のための争いであって、公はいつの間にかどこかに棚上げされてしまう」ということになる。

現在の行財政改革にオーバーラップさせるわけではないが、勝海舟に言わせれば、「すべての政治家が公を重んじ、私を捨てれば、改革などスムーズに行える」ということになるのだろう。

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