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2012年5月10日 (木)

白洲次郎 日本を復興させた男/須藤孝光

Photo 「君たち商工官僚は、何かというと産業行政をお題目のように唱えるが、これからは輸出行政があって産業行政がある、という建て前にものごとの考え方を改めなくてはいかん。重要なのは輸出マインドだ。食糧や石炭をアメリカから買うためにも、外貨を獲得する輸出を積極的に推進する役所が必要だ。だから商工省をそっちのほうに持っていく」。
 「マインドだけで輸出はできません」。
 永山も思わず熱くなった。
 「日本でつくっているような粗悪な品を、果たして買ってくれる国があるでしょうか?戦前は植民地相手にそういう商売も成り立ちました。ですが、そんな都合のいいマーケットはもはや存在しないのです。まずは国内産業を振興しながら技術を高めていって、初めて貿易行政が成り立つ水準に追いつけるのじやありませんか」。
 「だから役人は馬鹿だというんだ」。
 「なんですって」。
 「産業を振興しながら技術を高めるんじゃない。先に貿易にかなう技術水準を示して、それに見合うように産業を育てるんだ」。
 「そんな乱暴なことをして、生き残れる産業がありますか」。
 「生き残れるよう指導するのが、役人のつとめじゃないか!」・・・・・・この人なら本当に商工省を叩き漬しかねない。
 そう感じながらも、永山は一方で目を開かれる思いだった。

戦後、商工省を解体し、経済復興の原動力となる「通商産業省」を設立した白洲次郎。

上記は商工省の若手、永山との対話の場面だが、ここに官僚的な発想と白洲の発想の違いが表れていて面白い。

永井の考え方は、非常に常識的である。

まず国内の産業を復興させ、技術を高め、国際競争力を高めてから、競争に打って出るべきだと。

ところが白洲の発想は全く逆。

つまり、先に貿易にかなう技術水準を示した上、それに見合うように産業を育てるのだ、と。

少々乱暴な考え方のようだが、民間の力を最大限引き出すには、これが一番よいやり方だ。

秀才型の人物の多い官僚はこのような発想ができない。

あくまで官僚は、積み上げ型の発想が中心。

確実だが、そこにはリスクを取るという発想はない。

一方、白洲の発想はリスキーで大胆なように感じるが、それなりに理に適っている。

戦後の日本にはこのような器の大きい人物がいた。

それに比べ、今はどうも人物が全体的に小粒になってしまったような気がする。

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