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2012年6月 2日 (土)

十五億人を味方にする/稲葉利彦

4334975232 一台の自転車が、何十人もの乗客を乗せたバスの前をノロノロと進んでいきます。どんなにクラクションを鳴らされてもなかなか道を譲りません。他人の警笛などには一抹の緊張感も持たないみごとな落ち着きぶりです。
 このような情景を何度も眺めたあげく、私は、この国の人には「自分が世界の中心である」という悟りが訪れているに違いないと思いました。そこで、そのように仮定してみたところ、実にいろいろなことに合点がいったのです。
 例えば「人のじゃまになる」という意識の欠如です。
 エスカレーターを降りたその場所で、立ち止まって話をしたり荷物の整理をしたりする人たちをよく見かけます。うしろから来る人のじゃまもいいところです。どんどん人が降りてきてぶつかりますが、悠然としたものです。
 自分が「世界の中心」であれば、その辞書に「人のじゃまになる」という文字がなくても不思議はありません。

本書は、中国の天津伊勢丹の元社長である著者が、どのようにして天津伊勢丹を中国一の百貨店へと成長させたかが記されている。

「自己中心的である」「自らの非を認めない」「気配りができない」など、中国人に多く見られる思考行動特性から生じる問題に直面しながら、ビジネスを展開させるのは、並大抵なことではない。

特に、中国の考え方を紹介するときに、中華思想ということばがよく使われる。

中華思想とは中国こそが世界の中心であり、他国は従属する存在であるという考え方。

確かに、上記のエピソードにもあらわれているように、中国人の意識の底には「自分」こそが世界の中心だという考え方があるようだ。

中国の政治家の発言を聞いても、また一般市民のコメントを聞いても、「自分が世界の中心」という考え方がにじみ出ている。

日本人から見れば理解しがたく、なんとも傲慢な考え方に映るのだが、中国人にとってはそれが当たり前のことなのだろう。

しかし、今後日本が生き残るためには、中国とうまくつきあっていくことが必要になってくる。

中国で働く日本人ビジネスマンの合い言葉の一つに、「TIC」という言葉があるそうだ。

「TIC」とは、「This is China」の略。

「しょうがないだろう。ここは中国なんだからさ」というような意味。

つまり、中国人とつきあうには、このような割り切り方が必要だということだろう。

これは一つの知恵かもしれない。


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