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2012年6月 4日 (月)

運命の人(二)/山崎豊子

Bt000014260900200201_tl 言論の府に警視庁が踏み込む寸前だったと聞いて、一同、さすがに黙った。
 「・・・・・・しかし、外務省職員から極秘電文を入手したからと云って、国家公務員法でひっかけるなど汚すぎる、われわれ新聞記者の取材は、聞き出したい情報を知る立場にいる相手なら、運転手、秘書、家族、誰であれ、ありとあらゆる方法で接近する、場合によっては政治家、官僚の机の引き出しから覗いている書類を盗み見たり、引き抜いたりもする位の心意気がなければ、真実に迫る報道はできない」
 「そうだ、偽政者の都合の悪いことは書くべからず、書いた者はこうなると、まさに見せしめ逮捕だ!」
 新聞人の怒りが、渦巻いた。

弓成の逮捕の知らせを受け、新聞社の中は異様な雰囲気に包まれる。

確かに新聞記者の取材は、法律違反スレスレの行為だ。

ただ、それが黙認されているのは、取材される政治家や官僚の側も、それなりに利用価値を認めているから。

おそらく、そこには暗黙のルールのようなものが存在するのであろう。

ところが、ある一線を超えてしまったとき、国家権力は牙を剥く。

事実この後、毎朝新聞(毎日新聞)は「知る権利」をキーワードにキャンペーンを張るものの、結局、権力に屈した形で、弓成記者の依願退職というトカゲのシッポ切りをし、幕引きを図る。

しかし、国家権力というものは、ここまでえげつないものなのか、ということを物語る事件である。


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