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2012年7月 4日 (水)

修羅場の経営学/黒岩一美

4344998448 人間には「恒常性維持機能」がある。「自分が慣れた、快適な環境で生きていきたい」「なるべく仕事のプレッシャーから逃げたい」「無理な努力は嫌だ」と考えるものなのだ。
 したがって、快適な労働環境だと思っている年収600万円の課長に、「きみ、明日から取締役になってくれ。年収1500万円にするから」という人事を行ったとして、「やった」と喜ぶ人はまずいない。会社からは、「その代わり半端じゃないよ。気合入れて死に物狂いでやってくれ」とハッパを掛けられる。
 家に帰れば家族は「よかったね、やった!」と祝ってくれるが、本人はやる前から憂鬱で死にそうだ。その立場でその報酬をもらうには、相応の大変な仕事をこなさないといけないことが分かるからだ。自分のイメージと現実とのギャップを感じ、できるかどうか分からない、という不安と恐怖が芽生え、元の心地いい立場に戻りたくなる。快適な場所から出たくないという人間の意識は強い。家族のためであっても、自己犠牲を払うことができないのだ。
 経営者には、この気持ちが全く分からない。

馬ニンジン方式というやり方がある。

馬の鼻面にニンジンをぶら下げれば、馬はそのニンジンを食べようと必死に走るはずだ、という仮説である。

ところが、会社の経営者が社員にこの方式を当てはめようと、様々な試みをしても、まず9割方失敗する。

なぜなのか?

社員は経営者とは違うからである。

多くの経営者はハングリーである。

上昇志向のかたまりのようなところがある。

もっと会社を大きくしたい、もっと儲けたい、もっと新しい事業をしたい・・・、と。

逆に言えば、このような上昇志向があるから、会社を立ち上げたのだろう。

だから、社長はこう考える。

「俺だったら、役員にしてやると言われたら必死に頑張るのに」

「俺だったら、新しい仕事の責任者にしてやると言われたら・・・」と。

ほとんどが社長の思い込みである。

社長と社員とは違うのである。

社員の中で、社長のような上昇志向を持っているのはせいぜい1割ぐらい。

いや、1割もいないのではないだろうか。

社長にはこれがどうしてもわからない。

だから、「俺がこれだけ報いてやってるのにどうして頑張らないんだ」と、思ってしまう。

著者のいう通りである。

いきなり「給料上げてやる。役職上げてやる。だから頑張れ」と目の前にニンジンをぶらさげて尻を叩くだけでは、社員は絶対走らないのである。

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