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2012年7月12日 (木)

日本再生論/魏晶玄

25219035_1 ハーバード大教授で経営学者のマイケル・ポーターはこう語っています。「日本の企業は、体で動いて頭で動いていない」
 まったく酷いことを言うものですが、つまり、日本の企業に最も足りないところは「戦略」だということです。(中略)
 戦略なきプロジェクトは、おおむね立ち往生するか破綻への道を歩みます。しかし、怪我の功名というか、それらは「臨機応変」という強みを有しています。これは一種の副作用ともいえるでしょう。ようするに、事業がうまく運ばなかったとしても、方向が定まっていないのが幸いして、どうにでも中身を変更できるのです。
 欧米の企業はスタート前に入念に準備を行ない、到達すべき目標をしっかり決めて走り始めるので、もしそれが間違いだと判明しても、なかなか舵を切りにくい。その点、日本企業は「走りながら考える」ことを得意とし、景色を見ながら変幻に対応していくのです。
 よく言えば柔軟性に富んでいるのだけれど、結局は場当たり的。「なんとかなる」という気分がプロジェクト全体を動かし、問題が発生すればその都度修正を加えていくという手法では、これから「多様化」を受け入れ、グローバルな社会システムのなかで生きていくのは難しいと思われます。
 事業が失敗しても、そこに至る過程を評価もせず、分析も行なわない。したがってフィードバックも一切なく、必然的に戦略を立てることもできない。このサイクルがないから、リスタートしてもまた同じ失敗を繰り返す。走り始めて道に迷っても、平気で方向転換して反省もしない──こういう企業が日本にはまだ数多く残っています。

本書は、奨学金を受け韓国から東大への留学を経験した著者の日本への提言。

日本人が書いたものでないだけに、少し距離をおいて、日本を客観的に見ている部分がある。

その中で、著者がマイケル・ポーターの言葉を借りて言っているのは「日本には戦略がない」ということである。

まさに日本にもっとも欠けているのは、この部分ではないだろうか。

ただ、著者が『日本企業は「走りながら考える」ことを得意とし、景色を見ながら変幻に対応していく』と言っているのは、少し違うのではないか、思ってしまった。

私の感覚では「走りながら考える」のは日本人はあまり得意ではない。

日本人は「考えてから走る」というパターンが多い。

そして、その「考えて」の部分にあまりにも長い時間をかけすぎるところに問題があるように感じる。

日本の組織は、とにかく意思決定が遅い。

みんなの合意形成ができるまで、根回しを繰り返し、じっくりと時間をかけて意思決定するものだから、とにかく遅い。

もっと言えば、意思決定なしに、何となくスタートしてしまう、ということもある。

著者が「事業が失敗しても、そこに至る過程を評価もせず、分析も行なわない」と言うのも、誰も意思決定しないため、責任の所在が曖昧だからであろう。

今、石原東京都知事や橋下大阪市長が人気を集めるのも、良きにつけ悪しきにつけ、トップダウン型のリーダーで非常に歯切れが良いからではないだろうか。

いずれにしても、今日本は、世界の中で生き残れるかどうかの崖っぷちに立っているというのは確かなことのようである。

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