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2012年7月 1日 (日)

あの演説はなぜ人を動かしたのか/川上徹也

4569773753   絶望の谷間でもがき苦しむのは、もうやめようではありませんか。今日は、私は友であるみなさんにそう告げたい。今日明日、たとえ、さまざまな困難に直面しようとも、私にはまだ夢がある。それはアメリカン・ドリームに深く根ざした夢です。

 私には夢がある。いつの日かこの国が立ち上がり、「万人は生まれながらにして平等である。我々はこの真理は自明のことだと考える」という独立宣言の信条を本当の意味で実現する日が来るという夢が。

 私には夢がある。いつの日か、ジョージアの赤い丘でかつての奴隷の息子と、かつての奴隷所有者の息子が、兄弟のように同じテーブルを囲む日が来るという夢が。

 私には夢がある。不正と抑圧の熱波でうだるように暑いミシシッピ州でさえも、いつの日か、自由と正義のオアシスに変貌するという夢が。

 私には夢がある。いつの日か、私の幼い四人の子供たちが、肌の色ではなく中身によって判断される国に生きるという夢が。

上記は、あまりにも有名な、キング牧師の演説の一部。

人を動かす演説には、共通点があるという。

それはストーリーを語るということ。

ストーリーは世の中にあふれ返っている。

しかも、その構造はどれも驚くほど似ている。

なぜなら、人はある特定のストーリーのパターンに出合うと、思わず心が動いてしまう性質を持っているから。

この人の心を動かすストーリーのパターンは具体的に言うと、以下の三つの要素が含まれている。

第一に、何かが欠落した、もしくは欠落させられた主人公。

第二に、主人公がなんとしてもやり遂げようとする遠く険しい目標・ゴール。

第三に、乗り越えなければならない数多くの葛藤・障害・敵対するもの。

本書では、オバマ大統領、小泉首相、田中首相、ケネディ大統領、キング牧師、等の演説を取り上げて説明しているが、驚くほどこのパターンに合致している。

たとえば、キング牧師の演説も、人間としての正当な権利をもたされていない黒人(=欠落した主人公)が、

偏見という障害や人種差別主義者という敵(=数多くの葛藤・障害・敵対)を乗り越えながら、

白人と平等に扱われるという高い目標(=遠く険しい目標・ゴール)に向かって進んでいく、

というストーリーである。

とてもシンプルな構成だが、それ故に多くの人の心を動かす名演説になっている。

リーダーの仕事は、人の心を一致させ、ある時には感動させ、一つの方向に向かわせること。

そのために、人を動かす演説は、必須スキルではないだろうか。

それにしても米国のリーダーに比べ、日本のリーダーの演説はあまりにもお粗末。

悲しくなってしまう。

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