« 知らないと恥をかく世界の大問題3/池上彰 | トップページ | 現場刑事の掟/小川泰平 »

2012年8月17日 (金)

コミュニケーションは要らない/押井守

25190697_1 映画の企画を考え始めるとき、僕はまず本を探すところから始める。
 この映画では、これだけのことをやろうという目的のもとに、まず書庫に閉じこもって使える本を選定する。一度選定したら、もうそれ以上の本は絶対に使わない。
 とにかく、選定した本の範囲で作品を作ろうと自分自身で決定するのだ。
 選定が終わったら、今度はその本を抱えて仕事部屋に入り、机の上に積み上げる。
 すでにマーカーで塗りつぶされた本もあれば、これから新たにマーカーを重ねる本もある。そして、必要とあらば、積極的に文章を引用する。
 僕の映画で使用する言葉はそのほとんどが、誰かの著作からの引用だ。(中略)
 今の時代に「創る」ということは「選ぶ」ということと同義だと僕は思っている。それ以外にクリエイティビティなんてないとすら思う。
「創る」という言葉の意味が曖昧で、あたかもゼロから何かを生み出すような誤解を招くが、それはすでにある膨大な知的資産の中から、自分の価値観に照らし合わせて必要なものを選んでいるというだけだ。

コミュニケーションの道具は何といっても言葉だ。

この言葉をどのように用いるかがコミュニケーションの優劣を決定づける。

押井氏は映画監督として、言葉を非常に大切にするという。

ところが、映画で使用する言葉はそのほとんどが誰かの著作からの引用だというから驚きだ。

つまりオリジナルなものはほとんどないということだ。

これは意外に感じたものの、一方ではナルホドと思ってしまった。

よく創造とは、ゼロから何かを創り出すことだと考える人がいる。

ところが、クリエイティビティな仕事をしている人に限って、それを否定する。

創造とは、元々あるものを組み合わせて、あたかも新しいものであるかのように見せたり、ほとんどが組み合わせの妙によるものだという。

ただ、その組み合わせに意外性があったり、とんでもないところから結びつけるので、独自性が生まれる。

つまり創造も一つのスキルだということ。

確かな方法論があるのである。

そう考えると、凡人である私が創造的な仕事をするということも、努力によってある程度はできるような気がする。

« 知らないと恥をかく世界の大問題3/池上彰 | トップページ | 現場刑事の掟/小川泰平 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: コミュニケーションは要らない/押井守:

« 知らないと恥をかく世界の大問題3/池上彰 | トップページ | 現場刑事の掟/小川泰平 »