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2012年9月12日 (水)

先送りできない日本/池上彰

Photo 次の文章は、トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』という本の中で、オフショアリング、つまり企業の海外移転について述べている部分です。

アフリカで毎朝、シマウマが目を覚ます。
一番足の速いライオンよりも速く走らないと殺されることを、シマウマは知っている。
毎朝、ライオンが目を覚ます。
一番足の遅いシマウマに追いつけないと飢え死にすることを、ライオンは知っている。
ライオンであろうとシマウマであろうと変わりはない。
日が昇ったら、走りはじめたほうがいい。

 誰がライオンで誰がシマウマなのか、私にはわからないが、これだけはわかっている。
 中国がWTOに加盟して以来、その両者と世界各国は、どんどん速く走らなければならなくなっている。中国のWTO加盟が、共同作業の別の形ーーオフショアリングを強烈に加速させたからだ。

中国がWTOに加盟したのは2001年。

それまでの中国は、安い人件費で世界から製造を請け負う「世界の工場」だった。

しかし、WTOに加盟するということは、輸出入や外国からの投資などについて世界基準のルールに従うということ。

そうなった途端、さまざまな企業が中国に乗り込んできた。

製品の一部を作るのではなく、そこに自国の会社や工場を建設し、安い賃金と税金で自国と同じ製品を製造し始める。

やがて中国は、海外からの仕事の注文を受け、海外の企業と合弁会社を設立することで、他国の高度な技術を身につけるようになってくる。

悪い言葉で言えばパクッたと言えなくもないが、それによって急激に製品の品質は向上する。

当初は、単純に真似したり、技術を盗んだりするレベルだったが、いまや、低品質の製品から高品質のハイテク製品を自前で製造する力を獲得している。

上記のたとえで言えば、さながらライオンのような存在が中国だろうか。

一方、人口約5000万人の小さな国である韓国は、世界を相手に輸出産業で生き残ることに照準を絞って、猛烈に商売を仕掛けてきた。

世界の主要各国とFTAを結び、貿易自由化で先行。

特にアメリカ、EUといった巨大マーケットとFTAを結んだことによって、韓国製品はこれから欧米では、関税ゼロで安く売れるようになる。

韓国は上記のたとえで言えばシマウマであろう。

速い足を持っていることに間違いはなさそうだ。

では、日本はどうなのか?

今のままでは日本の製品には関税をかけられるので、現代やサムスン、LGといった韓国ブランドと、圧倒的な価格差が生まれてしまう。

このままでは勝負にならない。

残念ながらいまの日本は、シマウマでもライオンでもない。

それこそ本書のタイトルにあるように「先送りできない日本」の状態である。

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