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2012年9月27日 (木)

まず、戦略思考を変えよ/田坂広志

Photo  「湖畔の朝のビル・ゲイツ」というエピソードをご存知でしょうか。
 このマイクロソフトの会長、ビル・ゲイツは、ワシントン州シアトル市近郊のワシントン・レイクの湖畔に豪邸を持っています。ビル・ゲイツは、この豪邸において毎朝目覚めると、ワシントン・レイクを見ながらかならず考えるのだそうです。
 「マイクロソフトの隆盛も、今日がピークかもしれない。明日からは、下り坂になるかもしれない…」
 そしてビル・ゲイツは、こうした危機感をバネにして、マイクロソフトの業界トップの地位を維持するために、また精力的に仕事に向かうというエピソードです。
 様々なエピソードによって「天才」との賞賛を得ているビル・ゲイツですが、実は、このエピソードこそが、彼の「天才的資質」を物語っているのではないでしょうか。なぜならば、これは決して、彼の「果てしない貧欲さ」を物語っているエピソードではないからです。
 そうではありません。彼という人物が、現代の市場の持つ恐ろしい性質を、まさに「天才の直観」で理解していることを物語っているのです。

日本人にとって戦略思考は不得意科目だと言って良い。

長い間日本はまじめにコツコツ働いていれば食べてゆける時代が続いた。

ところが、IT社会となって状況は一変する。

情報が瞬く間に世界を駆けめぐることにより、もはや護送船団方式で、どの企業も仲良く一緒に生きていけるという時代は過ぎ去った。

今の市場は小選挙区と同じ。

一つの市場で一社しか生き残れない時代。

また、一つの市場でトップに立ったといっても安泰ではない。

油断すれば瞬く間に、奈落の底に突き落とされる。

そのため、業界トップに立った企業はナンバー2の企業をたたきつぶそうとする。

なぜなら「徹底的に勝つ」ことが、「生き残る」ための唯一の方策だから。

現代の市場は、あたかも「オセロ・ゲーム」のよう。

ほんのちょっとした打ち手の違いから、盤面の形勢が大逆転してしまう。

したがって、こうした市場においては、たとえナンバー・ワン企業といえども、決して油断はできない。

わずかな油断から生まれる小さな打ち手のミスが、一挙に盤面の形勢を変え、それまでの勝者が敗北に追いやられる。

ビル・ゲイツのエピソードはそのことを物語っている。

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