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2012年9月29日 (土)

ドキュメント東京電力/田原総一朗

Photo 折よく帰国中の岡本和人に東大の物理学教室で会った。
 「石炭火力から出る放射能問題は、いまや、ポピュラーというか、非常に深刻でして、原子力は危険で、石炭は安全だなんて誤まれる常識が、まだまかり通っているのは、先進国では日本だけなのじゃないですか」岡本は皮肉っぽい口調でいった。
 「たとえば、出力100万キロワットの石炭火力発電所で、稼動率を70パーセントと仮定すると、年間に200万トンの石炭を燃やすことになり、大気中に放出される放射性物質は、私の計算では、ウラン238が13ミリキュリー、トリウム232が6ミリキュリー、ウラン235が0.6ミリキュリーとなった。これを原子力発電所と比較すると、約10倍ということになります」
 石炭火力は、原子力発電の約十倍の放射能を出す。しかも、原子炉から出る放射能は、大部分がβ線またはγ線であるのに対して、石炭火力から出る放射能はα線で、β線やγ線に比べてはるかに毒性が強いのだという。
 「さらに、石炭火力の致命的なことは、石炭は燃やすのに酸素、つまり空気が必要なので、原子力の場合と違って、放射能を密閉できない。どうしても外界に出てしまうのですよ」
 岡本和人はいった。
 これは重大な問題だが、それにしても、なぜ、こうした事実が一般に広まらないのか。
岡本に問うと、「石炭が危険だ、ということになると困る連中がいる、その連中が強い力を持っている、ということでしょう」と、苦笑しながら答えた。

原子力から放射能が出ることは誰もが知っている。

しかし、石炭から放射能が出るという事実はどの位の人が知っているのだろう。

しかも石炭から出る放射能は原子力から出る放射能より深刻な被害をもたらすという。

そして、「原子力は危険で、石炭は安全だなんて誤まれる常識が、まだまかり通っているのは、先進国では日本だけ」という事実。

“日本の常識は世界の非常識”と言われる所以である。

かくいう私自身も、この一文を読むまで全くこのことは知らなかった。

大事なことは、キチンとした事実認識のもとに議論をするということではないだろうか。

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