青年社長(上)/高杉良
国や人種は違っても、人間は老いも若きも、男も女も、食事をしているときにはほんとうにに楽しいし、幸せだと思うんです。キエフのホテルのレストランや、ロンドンのパブや、パリのカフェ、ローマのパブ、ニューヨークのライブハウス・・・・・・。いろんな場所でいろんな人と仲良くなりましたけど、必ず食事、飲食が介在しているんですよねぇ。飲食は人を幸福にしてくれます。だから外食産業を通して、多くの人々と出会い、ふれあい、安らぎの場所を提供できたら、どんなにすばらしいことか。そう考えて外食産業を起こしたいと考えたんです。
本書はワタミフードサービスの創業者、渡邉美樹氏の創業から東証2部上場までを描いたノンフィクション。
全て実名で書かれている。
渡邉氏は、まだ小学生だった頃、父親の会社の倒産を味わい、大人になったら社長になると決意する。
大卒後、佐川急便のセールスドライバーで事業資金を貯め、「つぼ八」のフランチャイズ店をはじめ、お好み焼き店「唐変木」やサントリー系の居酒屋「白札屋」を次々と出店する。
渡邉氏の著書「夢に日付を」で述べられているように、夢に向かってやるべきことを決め、一つ一つ実現していく。
実際、その行動力やエネルギーはどこから来るのであろうか。
一つは子供の頃、父親の経営する会社が倒産したという体験。
もう一つは、上記抜き書きにあるように、大学卒業後、北半球の旅をしたときの体験ではないだろうか。
事業を興すことは大変なことである。
想定外のことがどんどん起こる。
実際、ほとんどの起業家が3年以内に夢破れ失敗する。
その中で、起業に成功し、さらに上場を果たすには何が必要なのか。
それは「何のためにこの事業を興すのか?」という志、原体験というものではないだろうか。
そして、これは多くの成功した経営者が共通して持っているものである。
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