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2012年10月16日 (火)

現実を視よ/柳井正

Isbn9784569806921  その昔、賑わいを見せていたその地方都市は、1960年代に起こったエネルギー革命の変化の波にさらされることになる。主力エネルギーが石炭から石油に移行したあおりを受けて、炭鉱は瞬く間に閉山に追い込まれた。
 炭鉱労働者で成り立っていた町からは、徐々に住民が去っていき、小学校も廃校。やがて町全体が消えてなくなった。閉山によって、その都市の人口は激減した。
 山口県宇部市。私の生まれ故郷である。
 当時中学生だった私のクラスからも、何人もの同級生が町を出ていった。 成長しなければ、即死する――。
 社会の変化は、あるきっかけによって唐突に起こる。そして成長から見放されることは、すなわち「死」を意味する。私は身をもって、その事実を学んだ。
 これこそ、私の原体験である。

本書は、日本に対する警告の書である。

ファーストリテイリングの会長兼社長、柳井氏は、このまま日本が変わらなければ、3年後にギリシャと同じように破綻すると警告する。

「日本はもう成長をめざさなくていい」という人がいる。

「それほど豊かにならなくても、そこそこの生活ができればいいじゃないの」と。

しかし、それは間違っている。

今のようなグローバル化した世界では、成長しないことイコール「死」である。

「そこそこの生活」すらもできなくなってしまう。

これが現実だ。

経済成長をせず、いったいどうやって生きていくのだろうか。

この国には1億2500万の人間を食べさせていける資源などない。

だから日本人は必死に働き、知恵を絞って付加価値を生み出し、競争に勝ち抜いてゆかなければならない。

いまだにそれなりの暮らしができているのは、過去の蓄積がかろうじて残っているからにすぎない。

しかし、その蓄えも、もうすぐ尽きようとしている。

昨日、ソフトバンクが米国の「スプリント・ネクステル」を買収することで両社が合意したと発表された。

これでソフトバンクは携帯電話会社で世界第3位に躍り出ることになる。

なぜ、こんな冒険をするのか?

それは現代のビジネスはどの業界でも、世界ナンバーワンでなければ儲からない構造になっているからである。

ナンバーツーやナンバースリーはそこそこ儲かり、それ以下はなかなか儲からない。

だからソフトバンクの孫社長はリスクをとってスプリント・ネクステルを買収することを決断したのであろう。

柳井社長のファーストリテイリングもまた世界で「圧倒的なナンバーワン」を目指しているという。

今、世界で成長著しい会社には一つの特徴がある。

それはオーナー経営者が即断即決しているということ。

サムソンもあれだけの世界的な企業に成長したのもオーナー経営者の早い決断と実行力によるところが大きい。

日本も一番勢いのあったのは、松下幸之助、本田宗一郎、井深大といったオーナー経営者が経営の実権を握っていた時代である。

それに比べ、多くの日本の大企業、サラリーマン社長が多すぎる。

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コメント

おはようございます。柳井さんの言葉が胸に突き刺さります。僕は介護業界に従事していますが、最後の一節に関連して介護業界はサラリーマン思考の人間が多すぎます。自分の待遇の悪さはすべて国や会社の責任にしています。
そんな業界に新しい風を吹かせたいと考えています。

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