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2012年10月12日 (金)

官僚の官僚による官僚のための日本!?/宮本政於

Photo  たとえば、こんな表現がよく使われるのです。
 「前向きに」という言葉は、「積極的に」とか「建設的に」との意味で、お役人は相手に希望をもたせる場合に用います。でも本音は「なにもしない」ことなのです。
 また、「鋭意」とは「熱心に」ですが、これも物事に大きな進展はないことを百も承知のうえで、とりあえず批判を避けるためにこうした文言を使用するのです。
「検討する」は、「調べ考える」わけですから、誠実な公僕は言葉どおり検討するのみにとどまるでしょう。ようするになにもしないわけです。
 さらに「慎重に」とくれば、慎重を期するあまり、動きがとれなくなることにつながり、やはり結論は何もしないことなのです。
 「十分に」は、事態の解決まで十分すぎるほど時間がかかり、風化した時点ではじめてきわめて微細なる変化が可能だと言っているのです。
 「努める」は努力は認めてほしいが結果は保証の限りではない、との意味です。
 「配慮する」も、取りあえず案件について考えてはみるが、結局は未決裁書類箱の底の肥やしにしかなりませんよ、という意味なのです。
 官僚の文言がいったいどのような意味があるのか、そのお勉強をしてみましょう。
 たとえば、官僚の口からこんなことばを聞いたらどう解釈すべきでしょうか。
 「この問題につきましては、前向きに、鋭意、検討させていただきます」
 「本件に関しましても、慎重かつ十分に、配慮に努める所存でございます」正しい解釈はいとも簡単です。
 「我々は、なにもいたしません」なのですから。

本書は、厚生省を内部批判したとして、懲戒解雇処分になった宮本氏が、ワシントンのナショナル・プレス・クラブやアメリカ国会図書館での講演に招かれ語った内容を収録したもの。

ここでは官僚用語について解説している。

国会答弁でもく使われる「前向きに」「鋭意に」「配慮する」といった言葉。

これらは結局は何もしないという意味だと。

国会での答弁が具体的にどのようになされているのか。

官僚は前日のうちに、議員から質問を入手する。

そして念入りな答えを用意する。

国会で答弁する場合のマニュアルが存在する。

文書で存在しているマニュアルではなく官僚の頭の中にきちんと植えつけられたマニュアルである。

それには次のようにある。

責任の所在は不明確にすべし。

現状維持を旨とすべし。

政治家の肥大化したプライドを傷つけないようにすべし。

のらりくらりと質問をはぐらかしながらも、聞いている側からは誠意があると映るような答弁であるべし。

こうしたポイントを押さえた上で、官僚は国会を進行させるためのシナリオをつくる。

何も決まらないはずである。

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