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2012年10月13日 (土)

「個力」を活かせる組織/太田肇

Photo  そして成果が測定される単位が小さければ小さいほど、大きなモチベーションが生じる。
 それを裏づける実験結果もある。フランスの農業技術者だったリンゲルマンは、ロープを引っ張る力が個人とチームとでどのように変化するかを実験した。その結果、一緒に引っ張る人数が増えるほど一人当たりの引っ張る力は低下し、七人で引っ張ったときには一人で引っ張ったときの七六%、十四人で引っ張ったときは七二%になった。
 また別の実験では、四人で引っ張ると三人分、八人で引っ張ると四人分以下の力しか発揮されなかった。これらは単純な仕事についての実験であるが、人間の心理的メカニズムを表すものとして興味深い。人数が増えるほど個人の影響力は低下するため、手抜きやさぼりが生じやすいのである。

これは「集団的手抜き」といわれる現象。

組織を作る上での難しさがここにある。

例えば10人の人が集まって仕事をすれば、10人分の仕事ができるかといえばそうではない。

「自分がやらなくても誰かがやってくれるだろう」という心理が働くからである。

では、こうならないためにはどうすればよいのか。

集団ではなく、個々のパフォーマンスを測定するようにしたら、という考えが生まれる。

つまり、人間は集団になるとどうしても手抜きをする。

だったら、個人の成果を正しく測定し評価すれば、個々のパフォーマンスは最大化されるはずだ、という仮説である。

ところが、実際にはそうはうまくいかない。

どうしてなのだろう。

それは、集団的手抜きに慣れきってしまった人に、いきなり「今度からあなたの成果を評価することにします」といったらどうなるのか、を考えてみるとよく分かる。

多くの人は抵抗感を覚えるだろう。

成果主義がうまくいかない原因の一つもここにあるのではないだろうか。

問題は、個々のパフォーマンスが明らかになったとき、それをどのようにフォローしマネジメントしていくのか、ということ。

これがなければ、成果主義はマイナスに働く。

多くの企業の例がそれを実証している。

ただし、成果主義が良いか悪いかは別にして、社員のパフォーマンスを最大化させることは企業にとっての最優先課題である。

本書の著者、太田氏が言うには、人が意欲的に働くためには次の三つの価値が重要だと述べている。

第一は、夢を実現したり目標を達成できること。

第二は、仕事のプロセス、とくに自律性や選択の機会が備わっていること。

第三は、生活の安定が保たれていること。

これらが満たされてはじめて人は意欲的に働くという。

問題は、これらのことを組織の中に仕組みとしてどのように組み込むかということであろう。

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