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2012年10月30日 (火)

下山の思想/五木寛之

Photo 私たちは山頂をきわめた。そして、次なる下山の過程にさしかかった。そして突然、激しい大雪崩に襲われた。下山の過程では、しばしばおこりうることだ。
 そのなかから起ちあがらなければならない。そして歩み続けなければならない。しかし、目標はふたたび山頂をめざすことではないのではないか。
見事に下山する。安全に、そして優雅に。
そのめざす方向には、これまでとちがう新しい希望がある。それは何か。

登山は下山してはじめて完成する。

頂点にたどり着いたら次は下山しなければならない。

そして山は登るより下る方が難しい。

五木氏は今の日本のおかれた状況を下山にたとえている。

高度成長期、バブルと頂上を目指し、今回、東日本大震災を経験した日本は、今度は上手に下山しなければならない、と。

私はこのような主張が出るたびに複雑な心境になる。

確かに経済成長は人を本当に幸せにするのか、というと、必ずしもそうは言えない。

ブータンの例を見れば分かる、あの国の国民は95%が幸せと感じているではないか、と言う人もいる。

それに比べ、日本は毎年3万人が自殺している、これで幸せな国と言えるのか、と。

では、本当に日本はこれ以上、経済成長しなくてもいいのか?

成長を追わなくなったら、自殺は減るのか?

格差はなくなるのか?

みんなが幸せになるのか?

私にはどうしてもそうは思えない。

かつて、日本の子供たちは学力競争で疲弊し病んでいる、かわいそうだ、と「ゆとり教育」を導入した。

その結果、子供たちは幸せになったのか?

残念ながら、そうはならなかった。

今、学校の教育現場はいじめ、学級崩壊、学力低下等、問題山積である。

競争を放棄すれば幸せになるとは限らないのである。

同様に、日本が経済成長を目指さないと幸せになれるのかというと、私にはどうしてもそうは思えない。

ただ、同じ頂上を目指すにしても、その登り方はこれまでとはちがったやり方もあるかもしれない。

その点では、もっと柔軟に考えるべきだろう。

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