青年社長(下)/高杉良
天狗になってたまるか!
店頭公開の一年前からワタミを大変かわいがってくださっている恩人からの声が間接的に届いた。
「ワタミが天狗になっている」
これはシャレで言っているのではなく、天狗、つまり増長し、日々の努力を怠り始めているということである。(中略)
株主様よりアンケートが届いた。
「次の料理を頼もうとしても、お店の人がいない。追加の料理や飲み物を頼むことができない。この値段なら、このサービスでも、しょうがないのか。」
“この値段でこんなサービスが受けられるなんて!”この言葉こそがわれわれが追求している言葉である。“この値段ならしょうがない”の言葉は、我々の存在さえも否定する。
上記は店頭公開した後、渡邉社長が社員に向けて書いたメッセージ。
「“この値段でこんなサービスが受けられるなんて!”この言葉こそがわれわれが追求している言葉である。“この値段ならしょうがない”の言葉は、我々の存在さえも否定する。」
この言葉の中に、渡邉社長の社員の仕事に対する要求の高さがあらわれている。
優れた経営者に共通することがある。
それは、社員に高いレベルの仕事を要求するということ。
そこには「これ位でいい」とか「しょうがない」という妥協の姿勢はない。
「限界ギリギリまで」または「限界を超えて」という姿勢を要求する。
しかし、社員は経営者が要求するような仕事をしてくれないことも多い。
なぜなら、社員にとって大事なのは仕事ではなく自分の家族であり、自分自身というのが本音の部分。
だから、経営者から高いレベルの仕事を要求されても「そんなことを言ったって」とつい言いたくなる。
では、そのような社員を動かすには何か必要か。
それは言葉である。
優れた経営者は、社員を鼓舞し引っ張っていく自分の言葉を持っている。
そしてその言葉に力がある。
この辺りが、優れた経営者とそうでない経営者との違いではないだろうか。
そしてこれは企業の経営者だけでなく全ての分野のリーダーに共通して言えるもの。
リーダーとはその率いる人々に対してあえて無理と思えることを要求し、それを言葉で鼓舞し引っ張る存在だと言えよう。
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