稼げる人、稼げない人/高城幸司
差がどんどん開いていく状況になったときに、差をつけられた側は決まってこうこぼす。
「俺はいわれたことをきちんとやってきた。ミスもないし、サボってもいない。確かに会社に貢献してきたはずだ。あと2年頑張れば管理職だったのに、なんで今、俺はこうなっちゃったんだろうか」と。この発言で特徴的なのは「いわれたことをきちんとやってきた」ということと「ミスもないし、サボってもいない」という部分だ。この人物は、ミスをするとか、問題を起こすとか、職場の上司に嫌われるとか、決定的な失点をしない限り、自分にとってマイナスになるようなことは起こるはずがない、と思っていたのだ。
ところが、会社が経営統合し、組織をスリム化するといった流れにさらされたとき、こういった意識の人が再編の調整弁となり、出世とは縁遠くなってしまう。命じられたこと以外に価値を見出せる仕事をしていた人との差がついてしまうのだ。
近年、会社が社員に求めるものが明らかに変わってきた。
以前は「真面目に言われたことをキチンとやる」ことが良い社員とされてきた。
いまでも新入社員については、ある程度このことが必要かもしれない。
しかし、ある程度の経験を積んだ社員が、いつまでたっても「言われたことをキチンとやる」ことしかできないようでは、真っ先にリストラの対象になってしまう。
そして、いまや、そのような仕事は期間雇用や派遣社員の仕事になってしまっている。
著者は社員一人ひとりが「稼げる人」にならなければならない、と主張する。
では、「稼げる人」とはどんな特性があるのか?
本書によると、
第一に、営業力のある人。
つまり、細かい仕事の一つひとつがどの程度、収益を上げるのか、具体的な数字を想定しながら行動できる人。
第二に、創造力のある人。
これは組織からの指示に付加価値をつけて成果を出すという力。
第三に、斬新力のある人。
たとえば、顧客に、明日までに商品をもってきてくれといわれたときに、その商品だけを手配するのではなく、
命じられた商品の特長や期限が明日までという条件を吟味して、注文以外の商品も提案してみるとか。
「まとめてお送りすれば、商品ごとの配送料がお得になりますよ」などとささやくアイデアを発想できる力。
第四に、再現力のある人。
稼げる人は成果を再現できる力をもっている。
成果は偶然で発生したものではないのだ。
第五に、削減力のある人。
稼げない人は仕事の成果がデコボコで、ムラがある。
これは仕事の仕組み化ができていないがゆえで、やらなくてもいいこともやってしまっているから。
また、過去の成功体験がある人に限って、自分の成功体験を捨てられない傾向がある。
稼げる人は、ムダを省くために捨てる勇気を持っている。
と、まあ、こんなことが書かれていた。
これら全てを備えている人はそうはいないと思うが、社員に求められるものが変化してきたという認識はしっかりと持つ必要があるのだろう。
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