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2012年11月28日 (水)

新世紀のビッグブラザーへ/三橋貴明

Photo「君の言うとおり、第三地域の人々から、自分たちの過去や現在についての自信を奪い去ればいいのだ。
 今の自分たちはダメだ。過去の自分たちもダメだ。このままでは未来の自分たちもダメだ、と。第三地域の政治、行政、文化、経済、軍事、教育、治安、技術、その他諸々、あらゆることに関する自信を奪い去り、否定させればいい。
 さもなければ、この地を世界革命に巻き込むなど、夢のまた夢だ。今の自分たちに自信を持ち、満足している人々が、革命など望むだろうか。ラディカルな革新を実現するには、まずは現在を全否定してもらわねば困るのだよ。(中略)
「それで、メディア統制ですか・・・・・・」
「ああ、勿論、メディアも利用したとも。プロパガンダと呼びたければ、呼ぶがいい。」
 だが、メディアだけではないぞ。
 政治家、官僚、財界人、学者、企業家、宗教家、評論家、人権活動家、労働運動家、学校教師、大学教授、弁護士、歌手、俳優、コメンテーター。
 ありとあらゆる手段で、影響力を持つ彼らを籠絡し、この地の人々の自信を奪い去るべく発言させ、行動させたわけだ。

日本の進歩人が主張する「人権」「友愛」「市民」「共生」「環境」「護憲」等の耳触りの良い施策が実現したら日本社会はどうなってしまうのか?

本書は、そのような起こり得る未来を描いたシミュレーション小説。

タイトルの「ビッグブラザー」とは、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの名作『1984年』に登場する独裁者の呼び名。

三橋氏が書籍やテレビの討論番組等で主張している内容を、小説という形で表現している。

内容はフィクションだが、その中の「従軍慰安婦問題」「南京大虐殺」「無防備都市宣言」等の記述は事実をそのまま記している。

三橋氏が一番罪深いと言っているのは実はマスコミ。

政治家の暴走は、有権者の投票で止められる。

官僚機構や企業の不祥事は、それこそマスメディアが、ここぞとばかりに叩くであろう。

しかし、そのマスメディア自身の暴走や不祥事は、果たして誰が抑えることができるのか。

日本国民はマスメディアを管理、制御する手段を、いっさい持ちあわせていない。

しかも、そもそも各マスメディアが一方的に偏った情報ばかりを流しているとしたら、誰がそれを止められるのか?

情報とは、かくも恐ろしいものだと記している。

小説としての出来は正直、それほどでもないのだが、著者が普段主張している内容が小説という形で描かれると、また違った意味で考えさせられる。

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