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2012年11月12日 (月)

働き盛りがなぜ死を選ぶのか/岡田尊司

Photo 統合失調症の社会的回復率と雇用状況との関係は、仕事というものが人間の存立基盤において、不可欠な要素となっていることを強く印象付けるものである。
 仕事をすることは、生活費を稼ぐために仕方なく行う必要悪ではなく、人間が人間らしく生きるために必要な営みなのである。それを適度に活用することが、生活を安定させ精神的な健康を維持するためだけでなく、人生の意義や人間としての尊厳を保つために必要なのである。

1998年、突如、自殺者の数は前年よりも35%も増え、3万人の大台を大きく超えるという異常な事態が起きた。

それ以降、自殺者はずっと年間3万人を超えた状態が続いている。

そして近年の日本における自殺者の傾向は、表題にあるように「働き盛りの自殺者」が非常に多いということ。

では、どうして働き盛りの自殺者が増えているのか?

精神科医である著者は、一番の原因は失業率の高止まりにあるという。

働き盛りの人に仕事がないということが何を意味するのか。

それは人としての尊厳が保てなくなってしまうことを意味する。

そして仕事をすることは、人間が人間らしく生きるために必要な営み。

だから対策としては何よりも完全雇用を第一に考えるべきであると述べている。

この著者の主張を読んで、確かに一面では同意できる面もあるのだが、反面、少々疑問も残った。

それは、日本よりも失業率が高いけれども自殺者数および自殺者率が日本よりも低い国はいくらでもあるからである。

国際比較でいうと、日本の失業率は決して高くはない。

にもかかわらず、自殺者の数は突出している。

私はむしろ、仕事に対する日本人特有の考え方がその根本にあるよう気がしている。

たとえ働き盛りの年齢の人に定職がなくても、それによってその人の人生や人格そのものが否定されるものではない。

それこそケセラセラの精神でいけば、自分を追い込むこともないのではないだろうか。

仕事は仕事、その人の人生は人生、と、切り離して考えても良いのではないだろうか。

あくまで個人的な考え方だが、仕事と自分の人生を一体化して考えてしまう、日本人特有の考え方が、自殺者の高止まりの一因となっているような気がする。

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コメント

「人に迷惑をかけない」が美徳とされている国ですから。
「人に迷惑をかけない」は裏を返せば、「かけるヤツはサイテー」

「働かざるもの食うべからず。」は、そのまんま「仕事のない者は死ね。」

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