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2012年11月16日 (金)

偽りの日米開戦/星亮一

Photo 昭和天皇は日米戦争には懐疑的だった。一九四一(昭和十六)年九月六日、対米戦争の和戦を決するとき、陸軍参謀総長の杉山元と軍令部総長の永野修身を呼び、総理大臣近衛文麿を陪席させ、いくつか質問を試みた。
 当時、陸軍は三ヵ月で対米戦争を片づけると豪語していた。
天皇「日米戦争が起こったら、陸軍はどれぐらいの期間で片づける確信があるのか」
杉山「南方方面だけは、三ヵ月で片づけるつもりであります」
天皇「杉山は支那事変勃発当時、陸軍大臣として、事変は一ヵ月ぐらいで片づくと申したが、四ヵ年の長きにおよんでいまだに片づかないではないか」
杉山「支那は奥地が広く、予定どおりに片づかないのは、恐懼の至りでございます」
天皇「支那の奥地が広いことは、初めからわかっている。広いがゆえに四ヵ年もかかるというなら、太平洋は一層広いではないか。いかなる根拠をもって、三ヵ月と申すか。それを説明せよ」
 杉山は顔面蒼白となり、一言の弁明もできず、立ち往生した。
 

日本軍幹部は、勝てないとわかっていながら日米開戦を曖昧に決断する。

通常、勝てないと分かっていて戦争するなどあり得ない。

スポーツなら強い相手に向かっていって花のように散るのは、ある意味カッコよく感じる。

しかし、戦争はスポーツとはと違う。

指導者の決断によって、多くの人の血が流れ命が失われる。

少なくとも勝てない戦争はすべきではない。

ところが、上記、昭和天皇の質問に対する杉山元陸軍参謀総長の受け応えを読むと、全く論理性がない。

希望的観測と感情論でしかない。

この陸軍参謀総長の部下たちは悲劇である。

本書では満洲事変、国際連盟脱退、日中戦争、ノモンハン事件・・・と、日本を崩壊の道へと向かわせた無知無責任な日本軍幹部の姿が描かれている。

でも、論理ではなく、感情や空気で動いてしまうというところは現在もほとんど変わっていないのではないだろうか。

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