« 池上彰のお金の学校/池上彰 | トップページ | ドラッカーさんが教えてくれた経営のウソとホント/酒井綱一郎 »

2012年11月26日 (月)

反ポピュリズム論/渡辺恒雄

Bks12090907320001n1 悪しき民主党のスローガンはほかにもある。「脱官僚」と「政治主導」である。官僚を叩いて国民大衆の喝采を浴びよう、という魂胆がありありで、まさにポピュリズムの典型だ。
 吉田茂、岸信介、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄……と歴代の総理大臣は誰もが霞ヶ関の官僚を大いに活用したものだが、それでも政治主導だった。官僚を使いこなす力があったからだ。
 例えば田中角栄という政治家は、高等教育を受けていない人だったが、だからこそ官僚を大事にして知識を吸収した。道路特定財源を定めた道路三法も、私の前任の読売新聞社長である小林興三次さんが旧自治庁の財政局長、行政部長だったころ、小林さんが田中さんと頻繁に協議して田中さんのアイデアを採り入れながら法文化作業を行って出て来た。
 田中さんが自民党幹事長のころ、彼の事務所に行くと、当時の大蔵省の課長級まで載った電話番号の一覧表がテーブルのガラス板の下にある。それで大蔵省の課長たちに電話を直接かけて指示を出していた。事務次官や局長を飛び越して、課長クラスまで使いこなしているとは本当にすごいと感心したものだ。金権政治の象徴のようなロッキード事件に首を突っこまなければ、彼は歴史に残る大宰相になっていただろう。

本書で読売新聞グループ会長の渡辺氏は、ポビュリズムの危険性を述べている。

渡辺氏の主張に全て共感するわけではないが、一部分についてはうなずける点があった。

たとえば、民主党の「脱官僚」「政治主導」のスローガンはボピュリズムそのものであると言う主張。

これについてはその通りである。

最近の「中央集権打破」も同じような匂いがする。

官僚を悪者に仕立て、政治主導を打ち出すのは確かに受けが良い。

しかし、本当に官僚を敵に回してしまったら、政治家は何もできない。

むしろ、本当の政治主導は、うまく官僚を使いこなすことではないだろうか。

いずれにしても、選挙になると万人受けする公約がどんどん出てくる。

今度は騙されないよう、しっかりと見極めたいものだ。

« 池上彰のお金の学校/池上彰 | トップページ | ドラッカーさんが教えてくれた経営のウソとホント/酒井綱一郎 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 反ポピュリズム論/渡辺恒雄:

« 池上彰のお金の学校/池上彰 | トップページ | ドラッカーさんが教えてくれた経営のウソとホント/酒井綱一郎 »