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2012年12月28日 (金)

新版 戦略PR/本田哲也

51yrlo4zsdl__aa278_pikin4bottomrigh 「空気」とは、こういうものだ。その場にいる人々の多くが、暗黙のうちに共有している情報や意識の集合体。本物の空気と同様で、普段は誰も意識することなどないし、目で見たり手で掴んだりすることもできない。しかし、その匂いや熱さ、風向きは、意識を鋭敏にすれば誰もが感じることができる。そんな存在だ。

モノが売れなくなっている。

また企業の発信する情報が消費者になかなか伝わらなくなってきている。

その原因は二つあると著者はいう。

一つは、量のハードル

もう一つが、質のハードルだ。

量のハードルとは、現代は情報が溢れかえっているということ。

企業が伝えたい商品の情報は消費者が受け取る情報総量の何万分の一にしかすぎない。

質のハードルとは、企業が伝えたいことの中身を見る目が厳しくなっている、ということ。

特に日本の消費者の商品を見る目は厳しい。

そしてそんな時代には「戦略PR」が必要だと主張する。

「戦略PR」とは何か?

一言で言えば「空気」をつくる手法。

消費者を「買いたい気分」にさせる「空気」

商品を売るためにつくりだす「空気」

そして「空気」とは人々が暗黙のうちに共有する情報の集合体である。

PRを「宣伝」と捉えている人は多い。

PRとは、本来はパブリック・リレーションズ(Public Relations)の略。

直訳すれば、「公的な(=Public)関係性(=Relations)」という意味。

仮に企業だったら、消費者はもちろん、株主や取引先企業、従業員、メディアや専門家といった利害関係者たちと良い関係を築き、それを維持するということになる。

だから例えば、レコード会社が株主総会で、自社レーベルに所属する歌手のミニライブを開くのもPRだし、テーマパークが「県民の日」に限り、地域住民の入園料を割り引くのもPR。

また、企業が自社の環境保護活動を消費者にアピールし、イメージアップを図るのもPRだといえる。

要は、「自分の良さを宣伝する」だけでなく、「周囲との関係をいい感じにする」ことで、企業や組織がその目的を達成していく。

PRはそんな考え方である。

それを戦略的に行なってゆき「空気」をつくりだしていく。

その成功例が「サントリーのハイボール」や「ビリーズブートキャンプ」。

どちらも「空気」を戦略的に創り出しヒットに結びつけている。

つまり日本独特の「空気」というものを、単にそれに読むのでなく、戦略的に創り出すことが必要だということである。

日本独特の「空気」を肯定的に捉え、それを戦略的につくりだしていく、という著者の考え方は非常に印象に残った。

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