世界は日本サッカーをどう報じたか/木崎伸也
オランダ戦が終わった直後、ドイツ国営放送のアナウンサーが、日本の選手たちの表情に食いついた。
「何てことでしょう。何ということでしょう!日本は負けたにもかかわらず、選手たちは負けたという顔をしていません!」
ことサッカーに関する限り、日本は後進国である。
確かに近年、ワールドカップに連続して出場するようになり、アジアにおいてはやっと強豪国の仲間入りを果たしたが、
サッカー選手や組織の質と量、サッカー文化の成熟度やファンの見る目等をみてみると、先進国とはとても言えない。
本書は、前回の南アフリカワールドカップに出場した日本代表チームを世界のサッカー先進国はどう見たかを述べたもの。
日本代表の岡田監督は当初、ベスト4を目標に掲げていた。
一方、日本のファンやマスコミの大方の予想は予選突破も危ういというものだった。
ところが、いざふたを開けてみると、予選リーグを2勝1敗で突破し、決勝トーナメント1回戦で敗退となった。
この結果に対し、「感動をありがとう」と日本のファンやマスコミは概ね好意的だった。
では世界のサッカー先進国は日本代表チームをどのように評価したのか?
ドイツのマスコミは予選リーグ1回戦の対カメルーン戦を「今回のワールドカップのワーストマッチ」と評し、
決勝トーナメント1回戦の対パラグアイ戦に至っては、スペインのアナウンサーは「視聴者のみなさんに、こんなひどい試合をお見せしたことを謝りたい」と実況したという。
随分と違うものだ。
でもこれが世界の日本サッカーに対する評価なのだろう。
特に昔から言われていることではあるが、日本の決定力不足は深刻だ。
ドイツにはこんな格言があるという。
「死んだ屍の上を、歩いて越えていけるか」
想像するだけで、恐ろしい。
だが、とても強烈な言い回しだ。
戦いに勝つには、屍を踏みつけて進んでいくほどの覚悟が必要だ、という意味である。
ドイツの伝説のFWたちは、それを共通して持っているとかつて浦和レッズでプレーしたブッフバルトは断言する。
それに対して、日本人はゴールへのこだわりが足りないと、ブッフバルトは浦和を率いているときに感じたという。
サーカーが点を取るスポーツである以上、やはりこの点が一番の違いなのだろう。
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