ザ・ラストバンカー/西川善文
リーダーシップとは、直面する難題から逃げないことである。
リーダーが逃げないから部下も逃げないし、前のめりで戦う。経営の責任者とはそういうものではないだろうか。遅滞なくスピード感を持って決断する。それは時に本当の意味でトップダウンであったろうし、時には部下たちが周到に根回しした案件を私がスパッと決断したものでもあったろう。それを「西川の独断」と評す人たちがいたが、私にすれば決断の現場の実態を何も知らない人の批判に思えてしかたがなかった。
安宅産業処理、平和相銀・イトマン事件、小泉郵政改革等、数々の厳しい現場に立ち会った西川氏の回想録である。
一貫してあるのは「破綻処理と再建」というキーワードである。
破綻処理にも再建にも当然ながら痛みを伴う。
痛みを伴わない破綻処理や再建があるというのならば、それは論理矛盾というものだ。
痛みが伴わないのであれば経営が破綻することなどあり得ないからである。
傷んだ企業の傷んだ事業と傷んだ資産を建て直すとは、雇用と事業をどこまで守るべきなのかを痛みを持って決断することである。
と同時に、どんなに非難を浴びようが、切るべきものは切るという大胆さと非情さが必要になってくる。
西川氏の回想録を読むと、リーダーシップとは何か?ということをいやがおうにも考えさせられる。
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