グーグル ネット覇者の真実/スティーブン・レヴィ
私が目撃したのは、常に期待どおりの成果を出せなくても、創造的な秩序の破壊を楽しんでいる企業の姿だ。2人の創業者の目標は最初から、人工知能を使って人間の能力を拡張することであり、グーグルをそのための手段と考えていた。その夢の実現のために、巨大な企業を築く必要があったのだ。
と同時に、なるべく小回りが利き、権威に否定的で、誰の指図も受ける必要のない新興企業の気ままさを維持しようとした。
スタンフォード大学で博士課程に在籍していたラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって設立されたグーグル。
「人類が使うすべての情報を集め整理する」という壮大な目的を持って設立された。
基本的にはインターネット上での検索エンジンを開発・運営する会社である。
やがて、このテクノージーで世界を変えてしまった。
今や、グーグルの検索エンジンのお世話になっていない人はほとんどいないであろう。
日本ではヤフーの方が利用者は多いが、ヤフーの検索を利用しているように思っていても、それはグーグルが提供したもの。
他のウェブサイトと違い、グーグルのホームページは至ってシンプル。
普通、ホームページのトップの面は、様々なメニューを所狭しと配置するものだが、グーグルのは白いスペースが多く、検索語を入力する検索ボックスと、その下に二つのボタンがあるだけ。
ひとつは通常の検索ボタン、もうひとつには「I'm Feeling Lucky」と表記されている。
これこそ、グーグルの性能に対する驚くべき自信の表れなのだろう。
このボタンから、世界中の情報にたどり着くことができる。
本書は、グーグルの設立から現在に至るまで、著者のインタビューした内容を中心に述べられている。
創業が1998年だから、まだ14年しか経っていないことになる。
順風満帆にみえるが、プライバシー問題、中国撤退騒動、独占禁止法違反容疑等、様々な危機にも直面し乗り越えてきている。
その歩みを一言で表すならば「創造的な秩序の破壊を楽しんでいる企業の姿」である。
今や巨大企業に成長したグーグルが今後どのような動きをしていくのか、本書を読んでますます興味が沸いてきた。
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