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2012年12月 4日 (火)

中国がなくても、日本経済はまったく心配ない!/三橋貴明

4898316379 日本の輸出依存度は「高度成長期」からせいぜい10%程度しかなかった。日本は「輸出により」高度成長したという定説は、完全に間違いである。別に「輸出は高度成長に貢献しなかった」などの極論を言う気はないが、いずれにせよ日本の高度成長は旺盛な個人消費と公共投資、そしてそれらの需要に向け拡大した企業の設備投資により達成された。

尖閣問題を発端に中国で大規模な反日デモが起こって以来、多くの日本の企業は撤退するかどうかの判断を迫られていると聞く。

ここでいつも「中国なしで日本はやっていけるのか」ということが問題になる。

そして、この議論の前提は、日本は貿易立国だからというもの。

ところが、本書で著者は、日本は貿易立国ではないと断言する。

日本は貿易立国だという固定概念を多くの人が持っている。

しかし、数字の上で見てみると、高度成長期からバブル崩壊にかけ、日本の輸出依存度はおおむね12%前後で推移している。

国際比較をすれば、非常に低い割合である。

しかも、中国への輸出は日本のGDPの3%にも満たないのが現実である。

では何が日本の成長を支えたのか?

それは個人消費である。

日本は第一次高度成長が始まった時点で、すでに個人消費がGDPの六割を占めていた。

その後、多少の上下変動はあるものの、日本の個人消費は常にGDPの六割前後で推移している。

日本の高度成長は、旺盛な個人消費や公共投資、それに輸出といった需要項目に対し、民間企業が設備投資を拡大することにより達成された。

すなわち、大方の日本国民の認識とは異なり、日本は高度成長開始時点ですでに「先進国型消費中心」の経済だった。

少なくとも、個人消費がGDPに占める割合が「着実」に減少していく、中国型投資依存経済とは全く異なる。

ちなみに、先進国の多くは個人消費がGDPの六割前後である。

唯一、アメリカのみが個人消費がGDPの七割に達している。

ある意味で、これこそが日中両国の高度成長の決定的な差異なのである。

だから、尖閣問題がこじれて、中国への輸出が全く駄目になっても、日本は全く問題ない、

むしろ、問題がこれから顕在化するのは中国だ、というのが著者の主張である。

著者の一連の著作の特徴は主張の裏付けとなる数字を明確にしているということ。

そして、全て数字で語っている。

それだけに説得力がある。

日本のマスコミの主張が一方的になりがちなだけに、本書を読むことによって丁度バランスがとれるのではないだろうか。

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