強い会社の教科書/小山昇
京都が栄えたのは、政治の世界の横に、「先斗町(歓楽街)」があったから。新宿が栄えたのは、都庁の横に、「歌舞伎町(歓楽街)」があったから。つくば学園都市が栄えたのは、土浦という「歓楽街」があったからです。あまりに潔癖すぎると、人に親しまれず孤立してしまう。「水清ければ魚棲まず」「人至って賢ければ友なし」は、真実です。
武蔵野の社員は、賞与をもらった際、奥さんに全額手渡す社員は、その後、出世していません。総務では、賞与袋を1000円で売っています。社員は新しい袋を買って、金額を書き換えて、奥さんに渡す。
賞与が50万円だったら、20万円を抜き取り、「30万円」と書き換えてから渡す。そして、抜き取った20万円を部下との懇親のために使う。これが正しい賞与の使い方です。
本書の著者は武蔵野の小山社長。
非常に個性的な社長だ。
本書に書いてあることも、中小企業ならではの経営手法であり、大企業とは一線を画す。
たとえば、こんなことを言っている。
「社長の仕事とは正しくなくてもいいから、早く決定すること」
「良い会社というものはありませんし、悪い会社というのもありません。良い社長と悪い社長がいるだけです」
「経営者意識とは、社員に株を持たせることではなく、個人的に損をさせること」
いずれも、中小企業ならではのことであり、また本音でズバリと言っている。
中でも「賞与をもらった際、奥さんに全額手渡す社員は、その後、出世していません」という言葉、
意外と本質的な部分を掴んでいるのではないだろうか。
確かに一生懸命ガンバッテ稼いだ賞与を全部奥さんに渡す以外にないのであればやる気も失せてしまうというもの。
なんとこの会社では賞与額の偽装を手伝っているという。
偽装用の賞与袋も総務で売っている。
少し遊び心があり、また社員のやる気をくすぐるやり方である。
大企業には真似できないやり方だが、これくらいのことをやらなければ中小企業は生き残っていけないのかもしれない。
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