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2013年1月14日 (月)

僕がアップルで学んだこと/松井博

51mztpzyuxl__aa278_pikin4bottomrigh スティーブが復帰する前のアップルは何の責任も問われない、悪い意味で「自由」な会社でした。当時もいまと同様に創造性溢れる面白い製品がどんどん生まれていました。ところがいまほど練れていない製品ばかりなのです。売れない製品を出したところで別に責任を問われませんから、ちょっと面白そうなら文化祭の出し物ぐらいの雰囲気で製品化してしまいます。
 ロクに責任を問われないため誰もキチンと最後までフォローしません。結局出す製品はどれもこれも問題だらけでした。あまりに自由すぎるので誰も責任感を持たず、みんな会社をうまく利用することばかり考えていて、普通に仕事を回してゆくことさえできていませんでした。
 スティーブはこのアナーキーとも呼べる状態に「責任」を持ち込んだのです。私はちょうどそのころに東京で管理職に抜擢されたのですが、来日した上司に「いいか、お前は選挙で選ばれたんじゃないんだ。お前はこのグループの独裁者になるんだぞ」と言われたのをよく覚えています。私は部署の独裁者になれる代わりに東京発の失敗に対して全責任を取らされる立場になりました。つまり独裁という自由の代償は重大な責任というわけです。

著者が言うには、スティーブ・ジョブズが復帰してからのアップルというのは、ちょうど誰も勉強しない底辺高校が東大合格者を続々と生み出す受験校になったぐらいの変化があったという。

スティーブが成し遂げたこと、それは従業員を仕事へと駆り立てる環境づくりだった。

それが功を奏し、やがて社員たちが変わり始め、ヒット商品が出始め、またそれが社員に自信とやる気を与え 会社が大きく変わっていった。

アップルには自由な雰囲気がある反面、意外なほど厳格な部分がある。

秘密厳守などは信じられないくらい厳格で、違反したらその日のうちに解雇されるばかりか、訴えられるケースさえある。

また上司からの業務命令は絶対で「右向け右」と言われたら右を向かないと辞めさせられると言っても大げさではない。

トップダウン的な色彩が極めて強い組織である。

そして、組織の責任者には強大な権力を与え、同時に責任も問うというやり方である。

でもこのスティーブの手法、倒産寸前の会社に対して最も効果的なやり方である。

倒産寸前の会社に共通するのは、責任が曖昧になり無法地帯化してしまっているということ。

そこに規律と責任感を再構築することによって組織は息を吹き返す。

これは多くの業績不振企業にも通用するやり方ではないだろうか。

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