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2013年1月23日 (水)

小説 盛田昭夫学校(下)/江波戸哲夫

51ic6kwuyl__aa278_pikin4bottomright 国内営業を担当するソニー商事も、TC事業部を統括する大賀も「録音機能のつかない再生だけの機械が売れるはずはない」という常識から離れることはなかった。それどころかソニー商事では調査会社に頼んで「録音機能がないテープレコーダーがいかに売れないか」という資料を作って盛田を断念させようという動きさえみせた。
 そうした意見が耳に入ると盛田はたちまちこれをなぎ払う熱弁を振るった。
 この製品は人類史上初めての音楽の楽しみ方を実現するんだ。人類史上初めてのものをどうやって調査会社が調べられるんだ。これは若者たちに熱病のように流行する可能性があるんだ。いや、そうさせなきゃいかんのだ」「カーステレオだって再生機能だけで、よく売れているじゃないか。そんな先入観を持っていて、よくソニーにいられるな。

革新的な新しい商品やサービスは、世に送り出されたとき初めてその価値を人々に知らしめ、人々の暮らしの中に大きな場所を獲得する。

それ以前には誰にも価値が分からないから、当然、市場調査の結果にもあらわれない。

ここに市場調査の限界がある。

代表的なものがスティーブ・ジョブズ健在なりしころのアップルのiPod、iPhone、iPadであり、もっと遡れば、ソニーのウォークマンであろう。

ソニーのウォークマンはどのようにして世に送り出されたのか。

本書を読んでみて分かることは、自由闊達な社風のあった当時のソニーでさえ、ウォークマンの商品化には反対論が大部分であったということである。

その中で当時会長だった盛田だけが強烈に商品化を訴える。

最後には、「初回の3万台がもし売れなかったら、私が責任をとって会長を辞めます」とまでいう。

これが世界中で大ヒットし、ソニーの代名詞にまでなってしまった。

このエピソードは何を示しているのか。

それは、会社という組織は基本的には保守的であるということ。

特にある程度成長してしまった組織は、どうしても守りに入ってしまう。

新しい発想やアイデアをつぶしてしまうことが往々にしてある。

社員の中にはよいアイデアを持っている者も中にはいるものである。

それをつぶさずにうまく引き上げ、商品やサービスというカタチにすることである。

それが可能な組織づくりが、今、多くの企業で求められているのではないだろうか。

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