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2013年2月11日 (月)

「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート/コリン・ジョイス

Photo もし日本の社会を知りたいなら、プールに行けばいい。込み入った日本社会をくまなく教えてくれるとまではいかないが、三十分ほどの入門コースとしてはプールにまさるものはないだろう。それはおそらく、ごく限られた空間にものすごい数の人たちが押し込められているからかもしれない。まさに日本そのものだ。ぼくは東京でひと泳ぎするたびに、なんとプールはこの国全体の縮図となっているんだろうと思ってしまう。

著者は、英国高級紙『デイリー・テレグラフ』の東京特派員。

来日して14年の著者が、日本のことを英国人の目で面白おかしく紹介している。

中でも、プールが日本社会の縮図というのは、ナルホドと思わされた。

例えば、すべてが実に整然としていること。

泳ぐところ、水遊びをするところ、ウォーキングをするところと、はっきり区分けされている。

初心者と上級者が分かれて泳げるよう、レーンがグレード別になっているところもそう。

秩序と安全に対する日本人の姿勢がよくあらわれているという。

また、そのようになっていないところでも、日本人はうまく自主規制をして、だいたい自分に合ったレーンで泳いでいる。

とても泳ぎの遅い人が中級者向けのレーンで泳いでいるようなときなど、そのレーンで泳いでいる人たちはみな平泳ぎになって、辛抱強く列を作り、問題となっている人が出ていってくれるのをただひたすら待っていたりする。

もちろん、ときには泳いでいる人同士、ぶつかってしまうこともあるが、そのようなときでも、日本人はおたがいに頭を下げ合って解決する。

こうしたことはイギリスではあり得ないのだという。

イギリスでは子供たちは大騒ぎして跳ね回っている。

子供は水深が深いところに行ってはいけないことになっているのだが、しきりにプールサイドをつたって忍び込もうとする。

もし、誰かにぶつかりでもしたら、お互い決して謝ろうとせず、両者がにらみあい、険悪な雰囲気になる。

何しろフーリガンの国だから。

日本で100人がうまく利用できるプールがあるとすれば、イギリスでは同じ大きさのプールは60人も入れば泳げなくなってしまう、という。

もちろん、イギリスのプールにも規則はある。

ただ誰もそれを守ろうとしないし、守らせようともしない、というのだ。

一つ一つナルホドと思わされるが、つまり、日本人にとって当たり前と見えることが、英国人には当たり前ではないということ。

しかし、これは良い面と見ることもできるが弱点と見ることもできる。

規則正しく皆が黙ってルールに従うという面は確かに良い面ではあるが、反面、自主性と自己主張に乏しく、長いものには巻かれろという面も透けて見える。

今のこのグローバル化した世界で日本人が生き残り存在感を示すには、ここにあげた日本人の良い面を生かしつつ、弱い面を克服する取り組みが必要になってくるのであろう。

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