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2013年2月10日 (日)

采配/落合博満

016268thumb208xauto21274 3割を超えられない選手の傾向を分析すると、3割を目標にしているケースがほとんどである。一方、3割の壁を突破していく選手は、一度も3割をマークしていないにもかかわらず、3割3分あたりを目指している。毎試合3打数1安打なら、打率は3割3分3厘になるというのが目標になる根拠だが、そうやって「達成するのは不可能じゃないか」と自分でも思えるような目標を設定して初めて、現実的に達成可能な目標をクリアできるのだ。
 そこには、メンタル面での理由もある。3割を目指す選手は、2割8分くらいまでは平常心で打席に立っていられるが、3割9分5厘と打率を上げてくると、自分の打撃を見失ってスランプに陥ることが多い。
 つまり、3割という数字が自分の中で「目標」から「ノルマ」に変わってしまうのだ。目標とノルマ。こうして文字を見ただけでも、ノルマには身を硬くしてしまわないか。ノルマにはどうしても義務感が伴ってしまものだ。そこから焦りが生まれ、平常心を失っていく。だからこそ、3割3分を目標とし9割9分から3割へ打率を上げていくのも、あくまで通過点だと感じられるようにしたほうがいい。

プロ野球選手にとって、3割打者になるかどうかは重大だ。

年俸でも数千万、場合によっては億単位の違いが出てくるであろうし、一流選手と言われる目安も3割打てるかどうかにかかってくる。

それだけに3割を目標に掲げる選手が多いというのは、理解できる。

しかし、落合氏は3割打ちたいのであれば、3割3分を目標にすべきだと述べる。

つまり3割3分という一段高い目標を掲げることによって3割を通過点と捉えられるようになる。

それがメンタルの面で良い効果をもたらす。

結果として3割を達成できる、という。

つまり3割打つことを目標ととらえると、選手はそれをノルマと捉えるようになり、2割9分あたりになると自分の打撃ができなくなってしまうというのだ。

これは目標の立て方にひとつのヒントを与えてくれる。

多くの人は、目標を立てる目的は、目標達成そのものだと考える。

それだと、どこまでだったら達成できるだろうか、という発想になる。

そうすると、目標そのものが自分を縛ることになる。

結果、目標をノルマと捉えがちになる。

では、目標を立てる目的を、自分のパフォーマンスを最大限に発揮させるため、と、発想を変えてみたらどうだろうか。

つまり目標達成そのものが目的ではない、あくまで自分のパフォーマンス向上のためだと、目的を変えるのである。

おそらくその方が目標設定にも自由度がでてきて、よい結果をもたらすのではないだろうか。

そういえば、落合氏も現役時代、毎年三冠王を目標に掲げ公言していた。

今考えれば、それも自分の打撃にもたらす心理的効果を狙ったものだったのではないだろうか。

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