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2013年3月12日 (火)

江戸300藩 殿様のその後/中山良昭

4195ireapl__sl500_aa300_ そこで、明治政府は旧藩主たちを東京に集めて、彼らを新体制の補完役として利用することを考えたのである。本来、明治維新を革命とするならば、大名家は消滅すべき存在なのだが、そこが、明治維新の不思議な部分である。旧体制の代表的存在の大名は抵抗勢力とはならず、むしろ近代日本の補佐的役割を果たしていく。
 維新直後には奥羽越列藩同盟に加わった藩は厳しい処分を受けているが、すぐにそれも解消され、多くの大名家が抱えていた借金は棒引きされ、旧石高の十分の一が無条件に支給されたのだから、旧大名家には不満はなかったはずだ。さらに、明治九年、士族と旧大名たちにそれまでの俸禄に代わって金禄公債が支給される。これは、一種の国債で、いわば退職金である。とりわけ旧大名は、この国債の利子だけで、ある程度の生活が維持されることが配慮された。その金額は一万石で一万円程度が基準だったようで、一万石の大名でも金利を五パーセントとして、それだけで庶民以上の生活ができたのだから、現在の価値からすれば少なくとも一億円以上(貨幣価値を換算するのは難しいが)となるだろう。

お殿様たちは、明治維新の後どうなったんだろう?

多くの人が持つ疑問である。

細川元総理が、関ヶ原の戦いなどで活躍した戦国大名・細川忠興の子孫であること位は知っているが、それ以外はほとんど分かっていない。

本書は、そのような疑問を持った著者が、お殿様の末裔が、明治、大正、昭和、平成の激動をどう生きたか、維新以後のドラマを克明に追ったもの。

そしてその結論は、「旧大名家は日本の近現代史形成の確かな一翼を担った存在だった」と言うこと。

旧大名の末裔は、教育、地方経済、政治、軍事、文化等、あらゆる面で活躍している。

そしてその出発点は、時の明治政府の計らいによる部分が大きい。

東西の革命の歴史を見てみると、旧権力者は、多くの場合、悲惨な運命をたどる。

処刑されたり、民衆の中でさらし者にされ、虐殺されたり、

新しく権力を握ったものにとって、旧権力者は抵抗勢力になってしまう可能性が高いことを考えると、当然の仕打ちだとも言える。

明治維新を革命だと考えると、日本は異例だとも言える。

しかし、そのことが、その優れた人材が後の世で活躍する場を広げることになり、それが日本の近代化の重要な役割を果たすことになったのだから、歴史とはおもしろいものである。

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