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2013年3月 3日 (日)

「合理的思考」の教科書/中山健夫

Photo「スマートデバイスを使うことで、(ある)脳腫瘍のリスクは50%高まる」(相対リスクによる表現)
「スマートデバイスを使うことで、(ある)脳腫瘍のリスクは0.0005%高まる」(絶対リスクによる表現)
 この2つが指摘している科学的事実は全く同じです。しかし、相対値で示した場合と絶対値で示した場合では、受け手に与える印象が大きく変わります。数字の表現は恐いとも言えますし、不思議とも言えますね。

スマートデバイスを長時間装着していると、原因ははっきりしないが、聴神経腫瘍が50%も増えるという国際的な疫学研究が発表された、というのは本当の話しだという。

しかし事実であるだけに、この50%という数字には注意が必要。

どんな人にもある病気になる可能性を、疫学ではその病気のベースラインリスクと呼ぶ。

そして、聴神経腫瘍のベースラインリスクは0.001%、つまり10万人に1人と言われている。

一方、研究の結果、デバイスを使った場合の聴神経腫瘍のリスクは0.0015%だという。

すると、これをベースラインリスクで割ると50%高まるということになる。

ここでいう「50%」という数字はこのようにして導き出されている。

一方、絶対リスクはそれぞれの絶対値なので、0.001%と0.0015%で絶対リスク差を見ると、0.0005%になる。

つまり10万人に1人が1.5人になるというリスク。

両方、間違ってはいないのだが、その数字の与えるインパクトは全く違ってくる。

「10万人に1人が1.5人になる」と言われれば「大したことない」と思ってしまうし、

「リスクが50%高まる」と言われれば「やめておこう」ということになってしまう。

それに、一般の人はそれが相対リスクを表す数字なのか絶対リスクを表す数字なのか、そんなことは区別しない。

50%という数字そのものを漠然としたイメージで受け止めてしまう。

実はこのような数字は世の中にたくさんある。

場合によっては意図的にこれをうまく利用しているケースもある。

数字には全てバイアスがかかっていると思って接した方がよいのではないだろうか。

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